雨は夜更け過ぎに

朝は少しの晴れ間があったけど、あっという間に曇って来て、昼から、雨が降ってきた。
ザーザーの雨。

「昼寝はした?」とお迎えに行った時、ふみに真っ先に聞いた。
「うん、寝た。あ、寝てない」
「どっち?」
「寝てない寝てない」

寝てないっか。これは夕飯のあと素早く風呂に入れ、早く寝かせないとね。
そうしました。
けど、ふみは全然寝ないや(+o+)

7:30からは、もう暗くしてたけど、暗い中、ふみの目はキラキラ光って、まるで森の中の小動物のよう。

歌を歌ってあげても寝ない、お話をしても寝ない、トントンしても寝ない。
「ふみ、なんで寝ないの?お昼寝してないでしょう?おかしいよ」
「あ、嘘言ってごめんなさい、お昼寝、寝た」

ガ〜ン
勘弁してぇ〜

ふみは、以前知人から貰った小さい懐中電灯で遊び始まった。
この懐中電灯、投光すると模様が出ます。


このかわいいヒヨコのような、羊のような夜行妖怪、寝室の天井に現れては消え、神出鬼没する。
ふみは喜ぶ。


もうどんな脅迫手段も効かずなので、わたしは裏声でゆっくりとふみに話かけた。
「ふみ君〜おっほっほっほ、寝なさぁい、寝ない子は食べられるわよぉ〜おっほっほっほ」
ふみ一瞬動きが止まった。
すぐ、「あなたはにせものでしょう、本物のママは?」とふみは言った、なぜか頑張って笑顔まで作った。

「いいえ、わたしは君の本物のママよ、ほっほっほ」

ふみはこわばった笑顔で「違うでしょう」「いやだ」とか言ってたが、
すぐ、泣きだした。

ふみ、寝るところか、さらに目が覚めてしまったわ、こりゃ。


外の雨、いつの間にか雪へと変わった。

もうこの手しか、ほかの方法見つからないから、わたしは強行を選ぶ。
「早く寝ないと食べられるわよ、あっ」と、わたしは裏声ながら、わざと大げさに自分の口を手で塞いだ。
「口どうしたの?」と、ふみは案の定、聞いてきた。

「なにもないわよ、ただ歯がとっても長いから、君に見られると困る、あっ、爪も隠さないと」

だんだん、ふみは落ち着いてきた、
「あなたは、にせもののママ、本物のママを返しなさい」
「知らないよ、君のママどこにいるのかは」
「おまえのうちでしょう!」とふみは堂々と言った。


へぇ〜すごいじゃん、格好いいじゃん、逞しいじゃん。
裏声をやめ、「あ、ふみ、助けてくれたのね、ありがとう。さっき悪い人が来たの?そうでしょう?」
「うん。ママどこに行ってたの?」
「や〜眠ってたから、なんも覚えてないよ」

ふみが眠ったのは、10時すぎ。
わたしも疲れて一緒に、うとうと眠ってしまった。
あ〜やりたいこと山ほどあるのにな、時間がもったいないな〜