味噌ラーメン
寒い朝を迎えました。
日差しがある分、いくらか楽。
夕方、ふみを連れて柔道道場へ。
今日はU君はちょっと喘息のため、お休み。
U君は、たとえ調子よくなるにしても、もう柔道道場に、これっきり来ないじゃないかな気がする。
周りの子はみんな出来て、自分だけなんも分からない、U君はそういう状況に苦痛で堪えられないようだ。
考えたら、ふみはえらかったね。ふみが道場に初めて入った時は、まったく同じ状況でした。
ふみは泣いたし、走らないでわたしのところで休んだし、けど、もうやめるとは、言ってなかった。そうやって、今日まで続いて、ふみはもうトレニングに楽しくて楽しくて、毎回汗びしょで頑張る。
今日は、久しぶりにSちゃんも来た。Sちゃんはお父さんのお仕事の都合で、ニ週間も来られなかった。
Sちゃんがいると、ふみはとてもうれしそう。もう「Sちゃん、Sちゃん」って、Sちゃんと走り回ってハイテンション。調子乗って「S〜」と呼んで、
「ね、ふみ君、なんでうちのことを呼び捨てしてるの?」とのSちゃんの厳しいお言葉で、ちょっと落ち着くふみ殿。
二人一組で、足はずっと畳の上で磨るように移動する、というなんとかの技の練習の時、ふみとSちゃん、思い切り足は畳から離れて、二人はあはははと笑って、お互いの柔道着を掴んで、むしろジャンプに近い。
近くにいるイタリア人の兄弟のお兄さんのA君、ちらちらと二人を見る。
この小学生のA君は、明らかにSちゃんのことを気になってる。
さきまで自分の弟と激しく回し蹴りし合ってるのに、Sちゃんを見かけると、急に優しいお兄ちゃんの顔に替えて、Sちゃんの動作を親切に教えたりする。
1分間経って、ジャンプしてたふみとSちゃんは、周りと同じように、立ち止まって、お互いおじきをし、「ありがとうございました」
次のワンセットが始まった途端、イタリア人のA君すぐSちゃんのところに行って、Sちゃんと組んで、やたらとSちゃんの動きを指導してる。
Sちゃんはというと、この自分より少しだけ大きいお兄ちゃんに、いかにも仕方なく従い、無表情でつまらなさそう。
さぁーふみ、どうする?さびしくなるかしら。
ふみ、Sちゃんたちをぼーっと見てた。けど、それは少しだけの間、ふみはすぐ違うお兄ちゃんと組んで、今度はふざけてなく、真面目に稽古してる。
ふみ、いいぞー。男の子はそれぐらいできないと、それが一種の強さだぞ。
帰り道で、つめたぁーい北風の中、わたしは震えるほどだが、ふみは、「全然寒くないよ」と言う。ほんとう、繋いでるふみの手は、ポッカポカ。
「ふみ、A君って、Sちゃんのこと好きだね」
「へへへへ」ふみはなぜか笑ってた。
うちに着いて、ふみのリクエッストの味噌ラーメンを急いで作る。
パパはお仕事で今日は遅くなる。
「おいしい。パパが食べたら、またメガネが曇るね」、ふみはアツアツの味噌ラーメンを食べながら言う。