関西
今日、ふみと関西方面へ向かうことに。
「おじいちゃんって、あんなに強かったね」、今朝、駅に向かうふみが急に言う。
ガソリン不足のせいか、タクシーもあまり走ってない。
ふみとボストンバッグを引っ張って駅へ向かって歩く。
「え?」
「おじいちゃんってさあー、あんなに強いと思わなかった。だってさあー、僕とお相撲取りして、すぐ“降参降参”と言って負けるしさあー、白黒の石でゲームしても、すぐ“降参降参”って負けるし。まさか地震に勝ったと思わなかった。おじいちゃんもおばあちゃんも、強いね」
白黒の石って、おじいちゃんの大得意な囲碁のことでしょう。
夕べ、パパのいとこから、被災地である、故郷の写真が送られてきた。
凄まじい光景の中、おじいちゃんおばあちゃんも、親戚たちも、みな笑顔だった。
ふみはパソコンの画面をさりげなくちらと、という程度で見てたけど、
やっぱり祖父母の笑顔が、ふみの心に、深く残ったものでしょう。
駅構内は、節電のために、エスカレーターもエレベーターも動いてなくて、重い荷物を持って、ふみと階段を上る。
電車は動いて、車内も普通とほぼかわらない。
車窓からの見慣れてる景色を眺める。
「さくら、まだまだだね、戻ってくる時、さくらも咲くかもしれないね」と思わずつぶやくわたしに、
「戻ってくる時も同じよ」とふみが。
そうね、そんなに長くいないもんね、この三連休だけだから。
三連休の東京は、雨との予報。
「ママ、前もその新幹線にのったことあるでしょう?思い出してみて、間違えてない?」
混雑してる東京駅で、ふみは真顔で言う。
「お弁当、あなごがいい、や、うなぎ、違う違う、いくら、やっぱりいくらがいいな」
「贅沢は言わないとの約束でしょう」
「そうだったそうだった。でもママ、ウルトラマンのハンカチは買ってくれる?それだけの贅沢だから、ぼくは」
トイレで、あわやハンドバッグを置き忘れそうになって、
「ママまだまだ修行足りないね」と言うふみ。
全く修行足りないわ。その通り。
新幹線ホーム並んでる時、ふみは小さい声で「三人だったらな…、でもいいよ、ママと二人もいいよ」と。
新幹線は満席。
隣は、横浜から乗ってきた家族。お母さんおばあちゃん、男の子、小さい女の子、が座ってる。
ふみとその年齢が同じぐらいの男の子、
誰からでもなく、言葉を交わすようになった。
「新幹線はカッコイイけど、乗ったらつまらないね」
「ね」
おばあちゃんが「あ、見て、富士山だ」と言って、
右の窓を見たら、富士山、きれいに現れてる。
「富士山、白と青だけじゃん、つまんない」
「砂糖と水の固まりだよね。富士山は」
「そうだよね」
それからなんでも反対を言うゲームが始まった。
ウルトラマンは食べられる、大根は食べられない、などなど。
その後は妄想話、「それでね、宇宙に浮かんでね」
「それでね、怪獣がね、新幹線を食べてね、」
「それでね」、まだ2歳という小さい妹が真ん中に入ってきて、やまびこのように二人の話を真似してる。「そんな宇宙ないよね、ね。ドーナツ、ドーナツ食べるぅ」と急に話題を変える。
小さいドーナツ、ふみにもくれました。
おばあちゃん急に「ねね、あなたたち、おばけっておいしいということ、知ってる?」
「え゛〜〜」
「おばけは食べられないよ」
「ううん、食べられるよ、ケチャップつけてね、案外おいしいよ」
名古屋で、旅の友達のY・K君家族と別れた。
ふみはY君のほっぺにちゅー。
欧米か?
ふみ、本当に人懐っこいね。
目的地に辿り着いたのは、もう14時半になった。
疲れたぁー(*´ο`*)=3
一休みしてから、ふみとお買い物。
牛乳やパン、ふみの衣料、などなど。
くたびれた=3=3=3
ショッピングセンターのキッズ美容室で、ふみの髪をカットしてもらった。
ふみ、仮面ライダーのビデオを見ながら、美容師のお姉さんに「喋ってるのは関西弁?なんでここ関西弁なの?」と話をかける。
お姉さんは笑う。
その間、座って待ってるわたしは、ソファーの座り心地あまりにもよく、もうこのまま横になって眠ってしまいたいほど。
今、寒い寒い西宮の夜を堪えてます。
今年の春、なかなか来ない。