時計

「ママ待って、ここで待ってて、僕を見てて、いい?見ててね」
そう言ってふみは走り出しました。


朝の登園道です。


歩いてるふみが急に立ち止まって、耳を済ませてしばらく、そう言って走り出したのです。


なになに、わたしも集中して聞いて見ると、
どこか遠く、重機が動いてる音がします。


あ〜、あの辺のビル、解体工事やってましたね。


走りながらふみは時々振り向く。


いるよ、ここにいる。
ママは大したことできないですけど、
見守るよ。ふみの見えるところで、ふみを静かに見てるから。




保育園で子供が作った“時計”が展示されてます。


ふみの時計。


数字がいっぱい書いてますね。

毎日の宿題に数字書いてますから、その成果を誇らしげに披露するふみの姿、目に浮かぶわ。


明日6月10日は、時の記念日だそうです。


なんででしょう。