花曇り

気温が上がってきて、また蒸してきた。


今年は入梅が早いから、梅雨明けも早いのでしょうか。


それからは節電の夏が待ってますからね〜



「ふみ行くよ」今朝、洗ったシーツやタオルケットが入ってる大きいカバンを持って、ふみにそう声をかけると、

ふみは走って来てサンダルを履く。


「あれ?ふみ、顔をあらったっけ、歯は?磨いた?」

( ̄○ ̄;)

ふみはサンダルを脱いで洗面所へ走って行く。


もう〜なんでいつもこう慌てるのかな。


「ゆっくり」「落ち着いて」いくら言っても、無駄みたい。


外に出てしばらく歩いたら、「あっ!」わたしは急に気がつく。
「なに?」
「口紅、塗ってないわ」
たいへん、身だしなみが…。


わたしは日傘をふみに渡し(曇っていても、この季節は紫外線が無視できないから)、
「ちょっとさしてくれる?口紅、ちょっとするから」

ふみは言われた通り日傘をさして、通りかかった人が見られないように、

わたしは急いでバッグから手鏡と口紅を取り出した。さっさと、これで安心。

「ありがとうね」
「はいはい」ふみは日傘をわたしに差し出すが、わたしがまだしっかり受け取っていないうちに、ふみはもう手を離して、歩き出した。

日傘、昨日の雨の水溜まりに落ちた。


(ToT)

水溜まりに、放射能が多いと言うのに。


日傘を拾い「ありがとうね、助かったよ」。


ふみは振り向いて、得意そうに笑う。


午前中に日がさしたり、午後は雨がパラパラしたり、夕方は、天気雨になった。


ふみをお迎えに行って、
廊下で、Hちゃんのお母さんが先生と話してる。
Hちゃんのお母さん、涙を流してる。


途端、わたしは、Hちゃんがふみとトラブルがあって、Hちゃんはケガしたんじゃないかと思って、緊張してきて、


おそるおそる傍に通って、Hちゃんのお母さんと目が合った。
Hちゃんのお母さんは軽く会釈して、また先生と話しだした。


目も鼻の先っぽも赤くなってるHちゃんのお母さんは、別にわたしを見て、なにか特別な反応はなかった。


ふみと保育園から出て、「ね、ふみ、Hちゃんの喧嘩とか、してない?」とわたしは急いでふみに確認する。

「してないよ」ふみの顔を見たら、ウソじゃないとわかる。


「そう〜、それはよかったね」
「Hちゃん、喧嘩しないよ、たまにしか」

「えぇー、じゃ、ふみは?」
「よくする」

自覚はあるんだ。


ふみは塾に入って、わたしはカフェへ。


はぁー、やっと一人でゆっくりできる時間、一時間ばかりだけど。


一週間って、早いね〜


塾の前の、ハナミズキハナミズキでしょうね。



ずいぶん大きな木。



今日はふみは忘れものなく、塾を後にした。


「ふみ、また地震が来るって」
「え?今日?」
「今日じゃないよ」今日だったら、こんなにぶらぶら、のんびりと歩けるか。

「なんだ、今日じゃないか」
「今週末か、今月末かって、週刊誌に書いてあった」
「しゅうかんし?」
「あ、雑誌よ雑誌、あ、本」雑誌と言っても意味わからないと思う。

「ふうん」
「どう思う?」
「普通」


普通って、普通に怖いのか、怖くなく普通にしてるなのか。


ふみ、急に体を小さくして、こっそりと前進する。

「どうしたの?ね、どうしたのよ」

「ああ〜、飛んだ」
「なに?」
「あの雀を捕まえようと思ってさ」

( ~っ~)/



枇杷黄なり空は
あやめの花曇り

ーー素堂