夏至


今年の日傘、3月末か4月始め頃から、使いはじめて。
パゴダ形の日傘、二、三年ほど前に購入したもので、白の生地に小さい水玉模様、わたしのお気に入りです。


長い間使っていて、もう長さを調節するところも効かなくなるし、生地も少し黄ばんできました。


日傘に留意して、この頃いろんなお店で見てましたけど、みんな似たり寄ったりで、いいのなかなかなくて、
夏本番に向かって、ネットで探して注文したのが、昨日、届きました。


や〜、イメージ通りの日傘やわ。嬉しゅうどす。



丁寧な刺繍



UVカット加工。
薄紅色の裏地。

ほんまに嬉しゅう。


お店からのメッセージカードと、この傘掛けグッズが同封してありまして。



さっそく今日から大事に使わせていただくわ。



今日は夏至
もう今日から本格的な夏になるよ、と説明してくれるような、朝から雲一つない、見事な梅雨晴れ。


こんなピカピカの青空と燦々と注ぐ日差し、どれくらいぶりでしょうか。




ふみは、昼寝はしない。
夜は9時頃に眠って、朝は6時頃に目覚める。


一日に8〜9時間の睡眠を取ってる。



少し前から、何回か担任の先生に呼び止められて、
「ふみ君、昼寝の時に、よく掛けてるタオルを噛むのです」と言われ、

その後、
「お母さん、今日もタオルを」
「お母さん、今日はパジャマを」


とうとう、「お母さん、おうちで何かあったんですか?普通、子供は不安や、恐怖や、悩みがある時に、あるいは寂しい時とか、よくタオルをかじったりします」


(?_?)

うちには、特に何にもなかったんですけど…。


どういうことでしょう。
わたしは悩みました。

きっとわたしがこれを言ったの悪かった、いや、違う、きっとあれをしたのが原因だった、けど、よく考えたらそうでもないしね。


では保育園でなにかあったのかな、先生に見えてないところで、この子にとって苦痛なことがあって、しかも毎日続けていて…。


ふみを観察すると、そうも見えないしね〜。


うちでよく笑う、楽しそうにのびのびしてるふみは、ウソじゃない。


保育園に行くのも少しの嫌な感じもない。
むしろ毎朝早く行きたがってる。


塾も水泳も、スキップして向かってる。


宿題も、「いいよ、やりたくないなら今日はいいよ」と言うと、
「いやだ、やるの!」と、柔道のあと、ヘトヘトになった時でも、宿題をサボった日、一回もなかった。


わたしはいろいろ考えても、答えが見つからなかった。


「ふみ、お昼寝の時に、タオルとか咬んでる?」
「うん」
「それはなんで?」
「退屈だから」


保育園は集団生活で、たとえお昼寝しない子でも、自由にさせることはできないから、みんなと同じにパジャマに着替えて、横にならなくちゃいけないの。


ふみ、薄暗い中、タオルかパジャマを咬んで過ごしてるのかな。


先日、お迎えに行ったら、ふみの敷き布団カバーとタオルケットが中庭に干してあった。


まさか、おねしょ?とびっくりして、先生に尋ねると、
「あ、違うんです違うんです」と先生が。
やはりかじって、びしょびしょに濡れてたから。


(∋_∈)


ふみはうちで、こんなことをするの一回もなかった。
「うん、やっぱりうちと違って、何か不安があるのでしょうね」


わたしは、その干してるタオルケットとカバーを持って帰って、お洗濯をしました。


週明けの一昨日、保育園から帰ってきたふみは、
パジャマのボタン取れたと言って、


昨日の朝、別のパジャマを持たせて、夕方、パパがお迎えに行った時に、ボタンが取れたのを持って帰ってもらった。


夜、一段落したら、お洗濯しようと、ふみの持って帰ってきたパジャマの袋を開けたら、
びっくり。
つばの匂いバーっと広がって拡がって、パジャマ、びしょびしょ。


(@_@)


ふみ、やっぱり何か不安や悩みがあるのでしょうか。

あれこれと考え、自分を責める。やっぱり母親のわたしがダメだからかな。


パジャマもタオルケットも湿っぽいまま、この季節、細菌繁殖しやすいのは確かだ。


ふみに、タオルケットやパジャマをかじるのをやめるように話す。


聞いてるような聞いてないようなふみに対し、
もう無理だなっと、わたしはふみに、「治らないなら、お医者さんところに連れて行って、入院させるしかないから」と脅した。


ふみは、この入院させるとの脅し文句が一番効く。パパもママも一緒に寝ない入院生活は、ふみには何よりの怖いこと。


「どれくらい?注射するの?」ふみは涙目になって、やがて泣き出して「病気じゃないもん、やめられるもん、入院しないもん」


心のどこかに、かわいそうだなと思い、けど、こうでもしないなら、この子、聞かないし、直らないから。


疲れました。

…。


朝起きて、乾いたふみのパジャマを取り込んで、わたしのボタンの缶から似合いそうなボタンを探し、付けた。


ふみの手を繋いで保育園へ。
「ママ、この日傘きれい、ママの顔もピンクになってるよ」

日傘に薄紅色の裏地があって。


ハンチングを前後逆にかぶるフランス人のJ君のパパが、玄関でJ君に投げキッスして、サドルの高い自転車に乗って、いつものように、陽気に去った。


H君は、赤ちゃん組の部屋の前に立って、柵から中の赤ちゃんたちを眺める。

H君の妹がいるんだ。


小さい子がママママと大声で泣いて、お母さんとお別れのを惜しむ。



いつものような保育園の朝の光景。



わたしの心境は重い。


担任のF先生がいなく、今日はN先生がいました。

N先生はベテランの先生で、ふみが保育園に入った時に、担任の先生だった。
N先生、ふみを二年間見てた。


「N先生、ふみはタオルケットを噛んでるみたいで、うちにあるのを持ってきましたけど、保育園の、わたし持って帰ってお洗濯します」

「あ〜、ふみ君、確かに噛んでる噛んでる、はははは」
「すみません」
「いいえいいえ、何の問題もないですよ。ふみ君、よく一時間半も、じーっとしてくれてますよ、よく頑張ったと思う。だってふみ君は、よく体を動かす子だから、お昼寝はしないのに、動けないでしょう?そりゃつまらなくて、退屈でしょうがないでしょうね。タオルでも噛んで、時間を潰してるのよ。おうちではやらないでしょう。はははは、ただお母さんがお洗濯、たいへんね、ははは」


?別に心理的なものではない…。


保育園をあとにして歩いてるうちに、鼻がツーンとなって、目頭が熱くなった。


洗濯機のカビを洗浄する洗剤を買って、洗濯機を回す。

洗濯機がベランダに置いてるためか、水、さほど汚れてなかった。


業者に電話して、エアコンの洗浄を頼む。

予約がいっぱいで、7月上旬にやっと来れそう。


小学校に電話して、来週水曜日に、ふみと見学しに行くことを決めた。

来年、ふみもう小学生になるんだ。


休みながらゆっくりうちを片付ける。


それにしても今日は暑い、いきなり32度って、もう少し過程がほしいわ、ま、天気に文句言ってもしょうがないけど。


お昼、防災用カップ麺を頂く。


食べないと、賞味期限があるから、食べたらまた買わないと。


夕方ふみをお迎えに、廊下でN先生に会った。


「お母さん、タオルケット、二枚持って帰っていい?ごめんね」
「とんでもないです。お天気ですし、今日帰ったらすぐ洗います」

「お母さん、連絡帳を読んだよ。う…ん、ちょっと気になって。ふみ君タオルケットをまた噛んだら、病院に連れて行くと言い聞かせたと書いてますね、本当に病院に行くんですか?行く気はまったくないでしょう?」

「はい、ないです、ただ…」

「ただ、脅してるだけでしょう?本当に病院に連れて行くのなら、それはお母さんの判断だから、私なんも言わないけど、そうじゃないなら、やめたほうがいいお母さん」

「?!…」

「そういう脅しを使うと、子供はどんな子になるかと言うと、もう普通に言うと聞かない、脅しじゃないと聞かない子になるんです」
「!…」

「しかも脅しだけで、あと守らないでしょう?だって病院連れていかないんだとわかって、これも慣れてしまう、するとさらにひどい脅しをしないと」


「…」

「どうしても脅したいなら、せめて、もう本を読んであげないよぐらいの、実現できることにしたほうが…」

「…」


「あとタオル噛むクセなんか、ふみ君はいいほうですよ、別に赤ちゃんの時からじゃないでしょう、単なる暇潰しよ。だってふみ君を見て、なんの問題もないじゃない、よく遊ぶ、よく笑う、友達が大好き、天真爛漫ないい子ですよ」


気づいたら、わたしの涙はもう溢れてきた。

「正直、クセと言うのは、誰が何を言ったら直る、と言うもんじゃないじゃない?あまり言うとストレスになって、返ってひどくなる例、周りよくあるんじゃない。こういう時、お母さんは根性よくわが子を信じて、待つしかないと思うけどね。よし、一枚も三枚もお母さん毎日洗ってあげるから、心配しなくていいからぐらいの根性があれば、子供のクセは直りが早い気がします」


「はい」


「わたしなんか、小さい時から爪を噛むクセがあって、親に厳しく言われたり、優しく言われたり、うん、今思う、あまり意味わからないし、それが恥ずかしいと思ってないですよね、大きくなってまだそのクセが直らなくて、でも人の目を気にするようになったから、自分で恥ずかしいと思って、それで我慢するようになったのよ」


「わたし、自分がいけないから子供が変なクセになるのかと思って、辛かったです」


「とんでもない。ふみ君のお母さんお父さん、よくやってますよ、一緒に遊んだり、連れてどこかに行ったり、本をいっぱい読んでやったり、もう…」


涙、頬に渡って、床に落ちた。


ふみと保育園に出て、買った野菜ジュースを渡した。今日は暑いから。


「ふみ、ごめんね。ママ変なこと言って」
「なに?」
「入院なんか、あれはウソだから」
「冗談?」
「そうそう、悪い冗談。ふみ、タオルを噛むの、直るなら、もちろんママは嬉しいよ、直らないなら、無理して、苦しんだりしなくていいからね、ママ、毎日持って帰ってお洗濯するから」



夜、宿題を終えて、ふみはパパと公園へ、昨日捕まえてきた虫たちを放生した。



わたしは夕方、久しぶりに知人二人と会うことに。

お茶の水駅で待ち合わせして、
男性のSさんが、女性のKさんのことを、「社長」と呼んでる。

一瞬誰のことだろうと思って。そうか、Kさん、社長なんですものね、二十年近くのお付き合い、彼女は途中、社長になったり、選挙に出たり、けどわたしの頭の中では、昔の彼女のまま以上、余分なものありませんでした。


三人で駅近くのお店に入った。



カウンターで、女性一人タバコを服みながら、ワインガラスを回してるの見て、
あわや「かっこいい」という言葉が口から出そうになった。


わたしはアルコールがまったくダメなもので、ホットコーヒーを。

出てきたコーヒー、スープのカップ


店員さんの名札を見て、Kさんが、「ちょっとお兄さん、その名前なんと読むの?ふくろ、へえー、袋の字のままですね、出身はどちら?」


「千葉です」店員さんの青年が。

「お父さんは?千葉じゃないでしょう」

「東北です。具体的にどの県かは、僕もよく知らないですけど、わりと若い時から、親戚もみんなこっちに出てきたから」


袋青年は去りました。


「おを付けたら、おふくろになっちゃって、あははは」“社長”が。


わたしは黙ってコーヒーを綴り、面白い会話の時、口を挟む、深刻な会話の時は目の前のゴボウ天ぷらをかじる。



なんだかんだで、夏至もすぎたね。


今朝、この千葉の知人からのメールに、
「夕べの蛍は、イルミネーションのようでした。今日のこの蒸し暑さだと、きっと今夜は、もっともっと明るいイルミネーションが、見られそう。」
と書いてありました。


イルミネーションのようなホタル…、どないなもんどっしゃろ。