朝顔

ベランダの朝顔は、もうつぼみが見えて、咲くのはそう遠くないでしょう。
楽しみだわ〜 朝顔を育てるのは初めて。

こちらは、「ほたる袋」。

両方ともKさんがくれたの。


この夏、節電のために、朝顔やゴーヤで“緑のカーテン”を作ろうと提唱されて、お庭か窓に、いろんな蔓の緑のカーテンが見かける。

朝顔より、ゴーヤのほうが評判がよいらしい。
葉っぱが大きくて密度が高い、それに育ちやすいゴーヤはすぐ実って、実用的。



ふみは今日、食欲がなく、たまに咳も出て、喉が痛いと訴える。熱もあって。
夏風邪かしら、それともまた保育園から何かのウイルスをもらったのかしら。


保育園の玄関にいつも貼り紙で、何組に何とか病気の子がいたと知らせてる。そういえば最近注意して見てなかったね。

明日、小児科に連れて行くしかないわ。


体調がよくないふみは、ベッドでゴロゴロ、ソファーでゴロゴロ、急に「宿題やる」と、今日の分をさっさとやって。夕方になると、もう宿題する体力がないなと実感したのでしょうか。


積み木を出して、“軍艦”を作る。
上に、クワガタムシの模型を二つ置く(勘弁してほしい、違う嫌な虫に似てるんだもん)。

お昼は、のり巻きご飯以外、何も食べたくないというので、そうした。

咳をするたびに喉が痛いとのことで、夕べ、パパが急遽コンビニから買ってきたソーダ味の氷菓子「ガリガリ君」を美味しそうにかじる。

喉が痛い時は、やっぱり冷たいものがいいでしょうね。


「ママ、この前、水泳の時、お兄ちゃん一人に、足の指のこと聞かれた」
「…、そう〜、どういうふうに?」
「その指、どうしたの?って」
「へぇ〜、で、ふみは?」
「なんでもないよ!って言った」
「お兄ちゃんは?」
「何も言わなかった」
「へぇ〜、ふみは、指のことが聞かれると、イヤでしたっけ」
「う…ん、ちょっとイヤだね」
「そう〜」


ふみの足の片方の小指の先っぽ、幅が広く、爪もまるで二つのように、ハート型になってる。
生まれつき。

なので、ふみの靴を選ぶ時、少し苦労する。
少なくとも3Eのを探さないと、その小指とぶっつかり、痛がる。かと言って3Eだから全ていいでもない。たまに全体に広い作りのがあって、先っぽがよくても、プカプカになる。


保育園では、今は聞く人があまりいないでしょうけど、ふみが小さい時、お友達に聞かれるか、先生の間の話しか、ふみは自分の足の一本の小指がちょっと変わってると気付いて、わたしに聞いて来たのだ。


「それは、神様のスタンプだよ」と答えた。
「神様のスタンプ?」
「そうよ。ふみが生まれる前に、ママは毎日神様にお願いして、お空を飛んでるふみが、早くママのところ、他のママのところじゃなくて、このママのところに来るようにと、毎日お願いしたら、ある日、神様が、いいよって言ってくれて。じゃ、わたしがどうやってその子がふみだとわかるのですか?と聞いたら、神様が、それは簡単なことだ。眉毛を太くするから、見れすぐわかるよと言って。ママはとても喜んだけど、考えたら、眉毛が太い子はたくさんいるんでしょう、そう神様に伝えたら、よしわかった、足の一本の小指に、ハート型の爪にしてあげよう、そうしたらわかるから」

「だから僕はこのハート型の爪になったんだ」
「そうよ、感謝しなくちゃ」
「ママいつもそういうね、ありがたい、ありがたいって」
そんなにいつも言ってるのかしら。


ふみは大きくなって、その“神様のスタンプ”が迷惑だと思ってきていることが段々多くなってきたようだ。


「ふみ、来年、小学校入るね、小学校では、知ってるお友達もいるんでしょうけど、知らないお友達のほうが、もっと多いはず。ふみの足の小指を初めて見るお友達も多いはず。そうしたら、また聞いてくるはず。その時、う…ん、ママなら、生まれつきこうなのよと教えると思うな」

「聞いて来るのいやだ」

「人間って、みんな自分を標準としたがる生き物なんだ、自分と違うものに、好奇心を持ったりする、単なる好奇心だよ、悪意はないから。ふみも、生れた時こうだよと、素直に教えたらいいんじゃない?怒ることや、くやしいこと、無いよ。」

「どうして?」

「だって、世の中、みんな同じ顔、同じ姿だと、困るでしょう。ふみはふみ、他の人は他の人、みんな違うから世の中がおもしろいんだよ。ママはふみのそのハート型爪の指、感謝してるけどな、これでこのふみは、ママがずっと待っていたふみなんだってわかったから」


ふみは黙って聞いて、しばらくして、
「ママ、パパがね、サッカーボールをコウモリに当てようとしたんだよ」
「ハッハッハッハ、ほんとう?いつ?」
「この前ね、神社で、パパとサッカーしてたら、コウモリが飛んで来て、パパがね、ボールを上に投げて、当てようとしたんだよ、当たるわけないのに」
「パパもそう思ったから投げたんじゃない?ハッハッハ」
「ハッハッハ、当たるわけないよね」


美術館、今日は行けなかった。治ったら、ふみと行こう。あの憧れの油絵を見よう。



顔かくし
行過ぎたりし
日傘かな
  −−虚子