静寂な構図
今日の夕顔です。
ヒトデと同じ、五角ですね。
これも頂いたお花で、植え替えて、つぼみが出て、
まだ名前は知らないんですけど。
どんな形のお花が咲くのか、楽しみにしてるわたしです。
興味があった映画《犬飼さんちの犬》や、《奇蹟》、行きやすい映画館では、いつの間にか、上演終了となり、見そびれました。
今日、ふみと新宿へ、「コクリコ坂から」を観に行ってきました。
昨日からの上演で、混むのじゃないかと思ってたら、そうでもなかったんです。
開演まで、まだ時間があって、やることがなく、ふみと飲み物を飲みながら、しりとり。
“る”になって、ふみの番。ふみは以前、わたしが言った「るいはともをよぶ」のを使った。
類は友を呼ぶの意味はなに?って聞いてたけど、ちゃんと覚えてたんだね。
アニメとのことで、場内はほかの親子連れもいた。
ふみは座席に着いて、荷物やチラシをおろして、また一人で出て行って、クッションをもらってきた。
それを見たほかの親子の親も、子供のためにクッションをもらってきた。
クッションがないと、こどもには、やっぱり低くてよく見えないのだから。
映画は、う…ん、ふみの言葉を借りると、「普通だね」
同感です。
海や船のシーンは、きれいだった。
駅から家までの帰路を歩く時は、昼の1時頃。
雲一つない空、地面からの熱気が、もう50度ぐらいは感じる。
「ママ、タクシーで帰ろうよ」
「近いから、運転手さんに怒られるよ。頑張ろう、負けないで」
「そうね、もう慣れたよ。もう、毎日こうでもいいよ、もう」
それはちょっと…。ママはまだそこまで開き直ってないわ、毎日初秋の風を夢見てるのよ。
ふみは毎日早起きなんです。
今朝も同じく6時頃、ふみは起き上がったのです。遅く就寝するわたしは、あと30分寝たいところです。
今日はいつもと違って、ベッドで横になってるわたしの耳に、床から、カサカサの音が聞こえ、
見て見たら、ふみ、床でうつ伏せの姿勢で何かを書いてる!
「ふみ、なにしてるの?」
「宿題宿題。夜は、まる子ちゃんとか見たいからさー」
「宿題はちゃんと座って書いてよ、ここはだめよ」
「うん、もうちょっと。…、はい、これで算数は終わり。国語はあとで座ってやるから、へへへ」
この週末の宿題、ふみまた5枚ずつでいいと、勝手に決めて先生にそう言ったそうです。
なんで10枚から5枚に?と聞いたら、
「つまんないもん」とふみが。
念願の足し算になったが、いろんな数字が、+1のばかりで。
「それが基本なのよ。基本がしっかりしっかりしてから、次に行くわよ。先生ちゃんと見てるんだから」とわたしは、ふみの説得に努める。
ふみは一応聞いてるように見えるけど、実際のところは、母親のわたしもよくわからないのが、正直なところです。
この子、勝手に先生と交渉して、宿題を増やしたり、減らしたり、親に相談というか、通告すらないんです。
宿題の枚数を見て、あるいは先生から言われて、わたしは初めて知ることに。
ふみは、人の意見にあまり左右されずというか、自分の考えに従う場合が多いと、つくづく感じるのです。
柔道にしても、水泳にしても、そういうところが結構みえます。
ついこの前の水泳では、足をばたばたしないで前進するのがあって、ふみだけ、足をばたばたさせて、楽しい顔をして、
女性のコーチが何回も注意したが、ふみは全く気にした様子なく、楽しそうに足をばたばたさせる。
「何回言ったらわかるの?何回も言ったでしょう!」コーチは怒った。ガラス張りのこっち側にもはっきりと聞こえるほど。
ふみは、ケロッとして、今度ビート板を掴んで、となりのコースの上級の子のクロールを真似して、泳ぎ始めたのです。
それが楽しくて、ふみはゴーグルを上げて、わたしを見て、自慢そうな笑みを見せる。
笑顔を返しながら、(あなた、コーチに怒られてるのよ)と、思ってるのは、わたしだけのようです。ふみはまるで何事もないようだ。
この前、パパがふみをお迎えに行ったら、ちょうどわらべ歌か何かの会があって、それが終わったところで、担任の先生が嬉しそうにパパに「あのふみ君がよ、楽しそうに歌ってくれて…」と言ったそうです。
その言い方に、やや驚いたパパでした。
なんとなくわかる。今の担任の若い女性の先生は、ふみのこと、少し頭が痛いということを。言う通りにしない場合が多々ありって感じかな。
ふみは、細かく言われるのを嫌がる。規制が苦手。
まあー、まだ集団生活に支障がでるほどではないようで、放っておいたほうが、というか放っておくしかないんじゃないかな。
わたしは、ふみは、そこらへんの加減はわかってると信じてる。
もうしばらく様子を見ましょう。
ふみは、なんでも“正しい”軌道を歩む、いわゆる優等生タイプではない。
欠点がたくさんあるのかもしれない。
けど、それが誰でもない、ふみなんだから。
わたしはふみという人間、好きよ。おもしろくて。
午後、ふみが早朝にやった算数を見る。
これが一つも間違いがなかった。
やっぱり本人が自分の意思によってやることは、集中力もあるんでしょうね。
「ふみ、数字もどんどんきれいに書けるようになったね」
そう聞くと、ふみは得意そうに国語の宿題を続ける。
そばで、ふみの鉛筆を削るわたし。
「ふみ、宿題をちゃんと揃えてね」
「…」
「このまま提出したら、先生に怒られるよ」
「どういうふうに?たとえば?」
「たとえば?やる気がないなら帰っていいよ、とか」
「そんなのとうに言われたことあるよ。べつに」
げっ、適当に言ったけど、まさか当たったとは。
教室の責任者のM先生、時々強い口調でだれか生徒を叱ってるの、見たことがありますが。
「えっ?言われたことあるの?どういう時?なにがあったの?」
「いいじゃないかー」
まあ、まあ、いいじゃない、ふみは楽しそうに塾に行ってるし。ちゃんと消化してるでしょう。
消化までも及ばない、この子、そもそも気にしてないんじゃないのかな。
まあ、まあ。
夜空に、皓々としたお月さまが。
このあいだの木曜は十五夜。夕方ヨガ教室が終わって、先生が屋上の扉を開き、「見てください」と。
まだ少し明るい空に、まん丸の月が…。とっても静寂な構図に、みんなと一緒に、ただただ息を飲むばかりだった。