昔なら
夜中また目覚めて、昨日は4時近く、今日は2時半少し前。
ラジオを聞くと、男性の声でテネシーワルツ、その後すぐ、地震情報、北海道の十勝で震度3、と。
さすが揺れは感じなかった。
まるで地震を待っていたように起きたから、やっと安心して眠れる。
月曜日、朝の荷物は多い。
ふみのタオルや敷布団、上履き、パジャマ、着替え、プールのセットなど。
うちに出て、「あっ、ふみごめん。ママ、日傘忘れたわ」
「太陽ないよ」
「ううん、昼から晴れるって」
うちに戻って、玄関に入った途端、「あっ、ふみごめん。日傘、腕に掛けてるわ」
再び外に出て、なんかおかしくなってきた。
わたしは、しばらく笑ってた。
「どうしましょうね、ふみ」
「僕に聞かないでよ。ぼく、お医者さんじゃないんだから」
はっ?お医者さんって、病気に見えたの?
あははは、ますますおかしくなった。
保育園から出て、Sちゃんとそのお父さんに会った。
Sちゃん、さっそく持っている虫籠を見せてくれて、ひゃ〜、中に巨大なバッタのような、カマキリのような虫がいる!
「キリギリスだよ」と、Sちゃんは嬉しそうに「おじいちゃん、おばあちゃんちに行った時に、掴まえたんだよ」
「キリギリス!」名前は知ってますが、実物見るの、初めて。
大きいし、派手だね。
「これは、玉ねぎ?玉ねぎ食べるの?」
「本を調べたら、そう書いてました」とSちゃんのお父さんが。
へぇ〜、じゃ、玉ねぎ畑に行けば、キリギリスに会えるのね。
Sちゃんのお父さんが、「鳴くんですよ、きーきーって」と。
へぇ〜、これは初耳、キリギリスって、鳴くんだ。
うちの鈴虫も鳴けばいいな。
一日、晴れ間がなく、でも雨もなかった。
夕方、ふみを塾から迎える。
「ね、ふみ、ママ、お仕事、辞めようかな」
「なんで?」
「うん、なんか、嫌になっちゃった。いろいろ聞かされると。疲れたというか」
「仕事疲れるの?」
「仕事自体はそうでもないけど、いろいろごぢゃごぢゃの聞かされるとね」
「でも辞めるのは、ずるいよ」
「ずるい?」
「そうよ、ずるいよ、だってパパは辞めてないのに」
なんの話しよ。
「ふみ、ふみは保育園に行くの嫌だなっていう日、ない?」
「ないよ」
「そう?でもあるのね、ママ知ってる」
「ないよ。う…ん、そういうのママに内緒にしてるの」
内緒にしても、ママは全部わかるさ。
「ね、ふみ、行くの嫌だと思う時、何を考えたら、行くことになるの?」
「それは、遊べるから。あとは、3時のおやつのため!」
「なるほど!いいね、ふみはえらいわ。今日の3時のおやつ、なんだったの?」
「にゅう麺」
「にゅう麺?!ふみはうちじゃ、にゅう麺なんか食べないじゃない」
「保育園のにゅう麺、甘いもん」と、ふみは神社の階段を駆けて上がる、急に止まって振り向いて「ラーメン、つけめん、ぼくイケメン」と。
ちょっと古くない?そのギャグ。
甘いかー。でもママには3時のおやつはどうでもいいんだけど。
しかし、いろいろと聞かされることなら、昔のわたしは、たぶんまったく心が動揺せず、頭に入れないというか。
けど今、いろいろ嫌なことが聞かされると、もう、気持ちに、気分に、体調までに、影響が出て来る。
よく言えば、だいぶ人間らしくなったとか、悪くいえば、“俗”に流されてる。
3時のおやつのために、行きたくない保育園にも行くふみが、羨ましい。
もう、八月だなぁ。来週の今、もう立秋だ。