半分の月

日差しは暑いが、秋らしくカラッとして、だいぶ過ごしやすい。


夜もエアコンなしで、さすがぐっすり眠れて、明るくなるまで三人とも起きなかった。


この頃地震がなくて、いいのかなとも思う。
慣れないや。なんか企んでませんか?



秋日和


ふみより一つ下の組の女の子のKちゃん、ハーフの中の実に美人のほう。


ふみをお迎えに行くとき、Kちゃんはわたしのところによくよってきて、いろいろと話しかけて来る。


わたしは毎回ながらKちゃんを褒める。

昨日、褒められたKちゃんは、はにかみながら、作った折り紙の拳銃のようなのをくれた。「バンバンだよ、あげる」とKちゃんが。実に整ってるきれいな顔なこと。



今日はわたしの休日。

先週の休日は、知人と会って、お店で美味しいケーキをご馳走になり、気が付いたら午後の2時すぎまでお話してた。


今日は、ゆっくりして、そして、Oさんに返事を書くと思って。

Oさんは、最愛の弟さんを亡くして、新盆が過ぎ、その悲しい寂しい気持ちを便りにくださった。


便りを頂いたのは少し前のことだった。

一人きりの時、ちゃんとじっくり読みたいと思って。

虫の世界と違って、人間の世界は、出会いや別れ、嬉しい悲しい、があって、愛しいのでしょうね。



いつもの朝よりは余裕があるから、掃除機もかけたりして、それを待つふみは、昨日Kちゃんからもらった折り紙を引っ張りだして、
「なに?これ」
「ああ、Kちゃんよ、昨日ママにくれたの」
「ぼくにってこと?なんでかな」ふみは明らかに嬉しそう。
おいおい、勘違いしないでよ。
「Kちゃんがね、大人気だって」
「誰が言ったの?」
「Hちゃんが、ぼくに言ってた」
へぇ〜、Hちゃんに言われるまで気付いてなかったんだ、ふみは。

「これ、持って行く」
「なんでよ、ママにくれたのに」
「聞いてみたいから」

Kちゃん接触の口実に?


「おはよう〜」Xくんのお母さんだ。
Xくんとは、ふみの一個上の卒業生で、来年ふみ入ろうとする小学校の一年生になって。

「Xくんは小学校もう慣れましたか?」
「ええ、なんとか」とXくんのお母さんが、「最近、芝生の放射線も正常値に戻って」。

?!、そうだったそうだった、その小学校の運動場は一面の芝生、子供たちが裸足で走り回れる魅力的な場所なんだ。


放射線ね〜、しつこく隅々まで人間につきまとう。


急に空気が乾いてきたね。
化粧品も、保湿性を重視する秋冬用のに変えないとね。もう若くないから。

昼近くなって、地下鉄に乗って新宿へ。


車両に立っていたら、白い半袖ワイシャツの男性が近づいて、低い声でわたしに向かってなにかを言う、

「はい?」思わず聞き返して、

三越に行きたいのですけど」男性は、ぼそぼそと。

「あ、三丁目で降りれば」
「…」ぼそぼそと男性はさらになにかを言う、

「はい?」聞き返すわたし。

「あの、どこかでお会いしませんでした?」

「えぇ?」改めて男性を見ると、50代後半の素敵な紳士だが、初めて見る顔だ。「初めてだと思いますが…」
駅に着いた。扉が開き、紳士に笑顔で会釈して、わたしは降りる。

声をかけてくるのは、いつの間にか“おじさま”しか。
もう若くないからね、わたしは。


夕方保育園にお迎えに行くと、玄関に、防災服を着てヘルメット被っている先生が一人立って、
今日、また避難訓練の日なんだ。

子供を引き渡す手続きをして、お部屋に行ったら、ふみ、隅っこで一人の先生に話しかけられてる。
側で女の子がしくしく泣いてる。

まあ〜

本棚に本を取りに行くふみは、女の子の足がジャマになって、その足を蹴り払ったという。

「蹴る前に言葉で解決して欲しかったですから」と同じく防災服とヘルメットの先生が。


もう一人の女の子がよってきて、しくしくの女の子に、
「ね、ね、あなた、なでしこジャパンになるんじゃなかった?」
するとしくしくの女の子は、急にしくしくが止まり、拳を振りながら
「ジャパン、なでしこ、ジャパン、なでしこ」と応援し始めて、
ふみ「え?なでしこジャパンになるの?ははは」

一件落着。


お部屋を出る時、担任の先生が来て、訓練のマニュアル通りに質問してくる。
「今日はまっすぐ帰宅でしょうか、それともどこかに寄るのでしょうか」
「帰宅です」
「はい、わかりました。ではふみくん、お母さんから離れないように、一緒に歩いてくださ…」
「は〜い」と、ふみくんはすでにダッシュ

「ちょっと待ってぇ〜」先生も即ダッシュ

ああ〜、ふみくん、頼むよ。

荷物を持ってわたしが玄関にたどり着いた時、
ふみくんは先生の厳しいお説教を受けてる最中。

「お母さんと離れちゃダメ、一緒にいなきゃダメって言ったでしょう!」

「うん、うん」

「ふみ、うんじゃないでしょう」とわたしが。

「はいはい」

もう…。

先生にあやまって、ふみを連れて保育園を後にする。

「ふみ、本当に地震が来た時、ふみはママやパパから離れないとはわかってる。でも訓練は訓練だから、守りましょうよ、そのほうかみんなラクだから」

「はいはい」
「ハイは一回で」
「は〜い」
「あとふみ、なんで○○ちゃんの足を蹴るのよ、ちょっとどいてねって言えば済むことなのに」
「あれは蹴ったなんかじゃないよ。下に座ってるから、見えてなかったから」
「そうなの?じゃ、なんで説明しないの?ちゃんと説明すればいいのに、先生もわかるのに」
「めんどくさいんだもん」

(∋_∈)


「そうだふみ、あの折り紙のこと、Kちゃんに聞いた?」

「あっ、忘れた!」

(`∇´ゞ






お昼に食べたタイのトムヤムヌードル。

辛くておいしい〜。


日が暮れて、ふみを塾の教室からお迎えして、月曜の塾だけど、風邪で休んで、今日に振り替え。
夕方の空に、半分の月が。

来週月曜日の12日は、中秋の名月ですね。