芋掘り
今朝、6時に目覚まし時計がなった途端、ふみはパパを揺らす、「パパ、パパ、起きて、お弁当作って」とパパを起こし、自分は、またパターンと横になって眠った。
今日は、保育園の年長さんの芋掘り遠足なんだ。
パパは何日前から、またふみにお弁当を作ってあげると宣言。
しかしふみ、まるで一晩中それを考えてたように、よくも目覚め、よくもいきなり、あんなはっきりとした口調でパパにお弁当のことを伝えるね。
今回は、リュックにお芋を入れるとのことで、お弁当箱は、使い捨てのにしてくださいと言われて。
パパの美味しそうなお弁当が出来上がり。
水筒だの着替えだのでリュックはパンパン。
レインコートも入れるようにとも言われたが、お天気は夕方まで持つんじゃないかと思って、入れなかった。
今日は一日中、変に生暖かくて、今晩から日曜までの雨は、生暖かい雨なんでしょうね。
午後は、いつもより早めにふみをお迎えに。
ふみたちは外にいました。
みんなはバケツを囲んでしゃがんでるが、
一人だけ、蛇口のある流し台に登ってる。
ふみだ。
しかも先生に注意されても、まるで聞こえてない。
お友達の一人が私を見つけて、ふみに教える。
振り向いたふみは、表情もなく、仕方がない感じで降りて来て、奥に行った。
玄関に回ったら、荷物を抱えてるふみも出てきた。
「芋掘りどうだった?」
「うん、楽しかった」そう答えるふみは、ずいぶん素っ気ない。
ふみの左目の目尻あたり、青くアザになってると気づく。公園で走る時ぶつかったという。
目とこめかみの間なんて、危ない!
「うん。帰ったら冷やして」とふみが。
なに、その態度は。
「何かあったの?さっきからママにぶっきらぼうで」
「疲れたもん。これから塾でしょう?疲れたよ」
「ママがお迎えするのは嬉しくないの?さっきママを見かける時、嬉しくも何もないし。ああ〜なんでほかの子は、みんなママ〜って、走って行くんだろうね。羨ましいよ」
「違うよ。さっき遊んでたから、ママはなんで早お迎えにしたかな、何があるかなって、ボウゼンとしてただけ」
茫然とした、ですかー。
最近のふみは、難しい言葉を使うの、興味津々みたい。
この前、パパがふみに「よくわかったね」と言ったら、
ふみは、「パパ、僕の目は、節穴ではないよ」と。
また、パパとしりとりの時に、“な”となって、ふみが「菜っ葉めし」と言って、パパに感心されてた。
わたしが「…八百屋さんの方が頭にタオルを巻いて…」と言ったら、
傍のふみが一言「鉢巻きだよ」。
うちに着いて、着替えをさせて、洗濯して、干して、ふみを塾に入れる。
疲れたふみは、塾でまた一時間お勉強をして、わたしがお迎えに行って、出てきたふみは、「もっとやれたのに、先生がママが来たと言って、終わらせたのよ」
あらま。
パパと二人で楽しそうにお芋を洗って、
りっぱりっぱ。
「でもふみ、なんでさっき保育園で、みんなお芋洗う時、ふみはしないの?」
「だって、僕そういう泥だらけの嫌いだから」
じゃ今は?意味わからない。
早速、素揚げして食べてみる、掘りたては、やっぱり美味しいわ。
ふみを寝かす時、聞いてみた、
パパはお弁当も作れるし、パパと楽しく遊べるし、お風呂もパパと入るし、もうママはいなくてもいいんじゃない?と。
「え〜〜なにそれ」
「なにそれじゃなくて、もうママがいなくても、困らないんじゃない?」
「それは困るよ」
「どういう時よ、たとえば?」
「たとえば…、わからないよ」
「じゃ、保育園でママのことを思い出したりする?」
「そりゃあるよ」
「どういう時よ」
「退屈な時」
た、たいくつな時?なにそれ。
「だ、か、ら、ママはいつもいるから、別に思わないじゃない」
「…」
そっかー、そっかって、別に納得したわけではないけど、
母親というのは、“水”のような存在であるべきかしら、
父親含め親族やお友達、それぞれ、お菓子かジュースみたい、
そりゃお菓子やジュースを食べたい飲みたいが、味気ない水だけど、なしで生きていけないのだ。
うん、そういうことだろう。
安心して水になろう。