そら
今朝、ベランダから見る一面の鰯雲。
思わず携帯のカメラを立ち上げる。
そしてこれは昼の雲。
わたしは本当によく空を眺めてる。
朝起きて、ふみの送り迎え、信号待ちの時、なにげなく、空を見上げる。
朝ごはん、蒸かした芋を頂いた。ふみが掘ったお芋、甘くておいしい。
昨日、チラシやら、雑誌やらで、“剣”をいっぱい作って、首から、袖から、腰から、たくさん携帯して、
「どう?」と聞いてくる、
「う…ん、剣の訪問販売?」
「…」
そのワケわからない格好で家中に移動、時々、「ホォー」「ビー」と何か擬声を発しながら。
近づいてくるたびに、目をけがさせられないように、注意を払わなきゃいけない。
その調子でやっと一日過ぎ、まさか今日になってもその記憶が褪せてないとは。
「これ、捨てないでよ、ボロボロなるまで使うから」。
明日はゴミの日なのにね。
夕方、ふみをお迎えに行ったら、汗だらけのふみは、M君と一緒に昆虫図鑑を見てる。
女の子何人か、3歳児組の担任の若い男の先生を囲んで、折り紙をしてる。
夕方になると遅番の関係で、先生たちは移動したりする。
女の子たち、ゲラゲラ笑いながら、男の先生に、
「オッパ〜、これ見てぇ〜」
「オッパ〜、これはどう?」
「オッパ〜どこいくの?行かないで」
そして一斉に笑う。
オッパかー、これは完全に韓国ドラマだね。
韓国語で、年上の親しい男性に、“オッパ”つまり、おにいちゃん、と呼ぶらしい。
お母さんたち韓流ドラマ見てるってことでしょうね。
ふみに、女の子たち、おにいちゃんおにいちゃんと呼んでるね、と話すと、
「それはね、たぶん、甘えたいの」
ま、甘えたい、ですかぁ。
「ふみ、どうしたの?」
ふみは、保育園の玄関で靴を履き、なのに歩き出すではなく、足を床から離さないでズルズルと前進。
「だってさぁ、踏むと電池が減るんだもん、節電しないと」
ふみのこのスニーカーは、振動によってピカピカと光る。
ふみは、靴の中に電池があると思っていて、少しでも長くピカピカが保つよう、“節電”に努める。
塾に向かう坂で、Aちゃんと会った。
同じ塾で、ふみの行く予定の小学校の一年生。
ふみはAちゃんと会話をする。
…
「ね、ママはやさしい?」とAちゃんが。
「まあまあ。まあまあかな」
「ふ〜ん、やさしいんだ。怒らない?」
「う…ん、まあまあ」
「ふ〜ん、やさしいんだ」
ふみを塾からお迎えした時、もう完全に日が暮れて。
街灯の下、ふみは一匹のコオロギを捕まえ、また放した。
寝る前のふみは、そのチラシの“剣”たちを数える。
ひゃ、こりゃ、ボロボロなるまで、捨てなれないわね。