秋晴

ふみの入ろうとする小学校は、阿川佐和子もここの卒業生だった。



小学校の入学健康診断のため、お昼を済ませて、ふみをお迎えに。


それにしてもよく晴れてますこと。

ぎらぎらの日差しに、思わず手で傘を作る。



ふみたちは午前、御苑まで遠足。でもお弁当のない遠足だから、お昼は園に戻って食べる。


保育園に入った途端、魚のにおいが…。


焼き魚ではなく、煮魚のにおい。<+))><<


もうパジャマに着替えてる子もいれば、まだテーブルの前で一人で悠悠閑閑と食べ続けてる子もいる。


ふみは、知らないTシャツを着て、ブロックで遊んでる。


午前、遊ぶ時に暑かったので、保育園の半袖を借りたとか。


半袖かあー、確かに11月にしてはちょっと暑いが、でも…。



「えぇ〜〜〜、緊張してきたぁー。どうしよう、イヤだな、でも行かないとダメよね」小学校に近づくと共に、ふみはまたニヤニヤしながら、独り言のように始まった。


「ふみ、お名前は?と聞かれたら?」

ふみはちゃんとフルネームで、“です”付きで答えてから、
「どうして?」と。


「うんん、別に」
U君のお母さんが、先日U君が面接で名前を答える時に、自分の名前を“君”付けで答えたというから。



小学校に着いて、受付時間はまだまだだが、すでに一組親子がいて。


「どこかでお会いしてますね」とそのお母さんが。

「朝、いつもお会いしてますね」


「そうですよね、あははは」


朝、ふみを保育園に入れて、坂を降りて、公園を通り抜けて、住宅街の路地で、よくこの親子と遇う。


お母さんはベビーカーを押し、中に2歳ぐらいの女の子がいて、お母さんの後ろに、お姉ちゃんと弟が着いて歩く。


おかっぱ頭のお姉ちゃんは、いつも品のよい格好して、その弟はふみと比べてずっとおとなしい。


いつもその小さい兄弟を見ていた。


今日も黒の上下を纏い、お行儀よく待っているお姉ちゃん、我がふみは、ずっと走り回る。


健康診断が始まり、虫歯なしとのことで、まず誉められた。


小児科の先生は、ふみの掛かり付けの先生だった。
今日は病院をお休みして出張してきたのだ。


聴力や視力は、親が付き添わないことになる。


それから面談。副校長先生だった。

ここの校長先生も副校長先生も男性の方。


名前や、年齢など聞かれ、
「好きな食べ物は?学校は給食だから、いろんなものがでますよ」

「好きな食べ物?う…ん、…」とふみ。


「じゃ、きらいな食べ物は?」


「きらいな食べ物?う…ん」

「えっと、好き嫌いがないってことかな」


「あるけど、変わるから。好き嫌いは、だから急に言えないから」と、ふみは両足をぶらぶらさせる。


さりげなくふみの膝を軽く押さえるわたし。

どんな遊びが好きかとかの質問には、楽しくなってきたのか、ふみの足、また軽快にゆらゆら。

さりげなくふみの膝を軽く押さえるわたし。



面談の部屋から出てきて、廊下は長い行列が。

早く来てよかった。



小学校から出て、
「楽しかった〜、目の検査はおもしろい。上に向いてたら、“上”って言うの、右は右で、左は左って言うし…、もっとやりたかったぁー」



もう少しですね。ランドセルをしょって、ふみは小学生になる。


長かったような短かったような。
ふみは、小学生になるんだ。




最近、ことわざのカルタでパパと遊ぶのが気に入ってる。
お陰でいろんなことわざを覚え、とくにそれの意味をすぐ言えて、パパに感心されて。


カルタで土俵を作って、パパと相撲取り。


「負けたくない〜、もう一回やりたかったぁ、負けたくない、あ゛あ゛あ゛ー」と号泣するふみ。
寝る前は穏やかにいましょうよ。