子供たち
今日は、保育園の保育参加、参観じゃなくて、参加です。
疲れるんじゃないかって、ちょっと躊躇したけど、もう保育園の最後だと思うと、申し込んでしまって。
担任の先生が今日は遅番で、午前はN先生が担当。
「昨日、みんなで御苑に行ったね?今から、御苑で何が楽しかったのかを、一言ずつ発表してもらいます」とN先生が。
「ドングリをひろって楽しかった」
「池の魚、楽しかった」
子供は前に来て発表して、
また次に発表してもらいたい子を指名する。
誰かが発表の時、必ず誰かが「聞こえないよ」「なにそれ」と叫ぶ。
「土の中で、ミミズがシューーといて、楽しかったです。はい、M君」とS君が、
みんなは笑う。
ニヤニヤしてM君が前に来る「Tに追っかけられて、楽しかった」
みんながさらに笑う。
「えっと、次は…」とM君が、
「俺を呼んで」とふみは声を押さえて言う。
「あ、ふみ君」とM君。
「先生、今ふみ君が“俺を呼んで”って言ったぁー」とK君。
聞こえないようにふみは堂々と前に立つ、「えっと、カマキリを捕まえて楽しかった」
ヤジを飛ばす時より声が小さいじゃない。
「えっと、次はHちゃん、」
「あたし昨日休みだったよ」
「残念〜」
次は外で遊ぶことに。
N先生が「寒いなと思う人は自分でジャンパーを着たり、大丈夫だと思う人はそのまま。寒かったり暑かったり、もう先生はなんも言わない、自分で責任を持って行動すること。自分の体は…?」
「みんなのもんじゃない!」「自分で守る!」
という訳で、外で遊ぶか、お部屋で遊ぶか、これも自由。
「ふみ君は、ほとんど外で遊ぶ派ですよ。一番好きなの鬼ごっこ、ずっと走ってるから」とN先生はわたしに笑って言う。
わたしは玄関に戻って靴を取りに。
Y・Mちゃんが、部屋の中に残った。
「Mちゃん、外に行かないの?」と声かけたら、
「なんで私の名前を知ってるの?」とMちゃんは恥ずかしがりながら聞く。
「ふみ君から聞いたの。ひまわりにとってもかわいい女の子がきたよって」
ふみから、Mちゃんのママは飛行機事故でフィリピンで亡くなって、またフィリピンから新しいママがきたと、聞いてた。
Mちゃんは嬉しそうな顔を見せ、「ほんとう?」と、
「ほんとうよ、ちょーかわいいって言ってたよ、一緒に外で遊ぼう」
Mちゃんはうなずいた。
ふみ、鬼ごっこで懸命に走ってる。
ぎゃーぎゃー騒ぎながら、ふみは止まらずダッシュ。
たちまちに背中は汗でびしょびしょ、額も汗が光る。
それを眺めるわたし。
「ママ、鬼ごっこやろう、ね、俺のママ貸してもいいよ」
ちょっとちょっと、あんなダッシュしてたら、倒れるよ。
視野に、Mちゃんが入ってきた。
「ね、みて」とMちゃんは竹ぼっくりに乗ってあるいてきた。
「Mちゃん!上手上手、凄いね」
Mちゃんは、やはり恥ずかしそうに微笑む。
それからは、Mちゃんは、ずっと竹ぼっくりでわたしの回りで歩く、歩きながらわたしを見る、視線が遇ったら、すぐ恥ずかしそうに笑って前を向く。
縄跳びが始まった。
ふみは何回も「ママ、もう僕は縄跳びできるようになったよ」と言ってたが、
う…ん、運動会までふみもそう言って、結局微妙な感じだったから、またそう言われても、あまり本気にしなかった。
けど目の前のふみ、
本格的に縄跳びしてる、しかも前跳びだけではなく、後ろ跳び、ケンケン跳び、
さらに、縄跳びしながら、大縄で跳んでるというわざも!
ひゃ〜〜、驚いた。
N先生と一緒に大縄を回しながら、胸にジンと来るものを感じる。
大縄の中で、ふみは50回以上も跳び、疲れて、座り込んだ。
「ふみ君のママ、みて、鉄棒もできるよ」Mちゃんは近づいて小さい声で言う。
「見せて見せて」
「あの、ゴリラしかできないけどね」Mちゃんは両手で輪を作って鉄棒にぶら下げ、さらに足を上げようとしたら、「あ、パンツ見える、やめた」と。
Mちゃんもほかの女の子みたいにタイツを履けばよかったね。
Mちゃん、またにこにこ竹ぼっくりでわたしを回って歩き出す。
「ね、ふみ君のママ、幼虫発見!」S君がボールの中の丸い物体を見せる。
「凄い、どこで見つけたの?」
S君は大きい木の根っこを指差す。
既に大きい穴が掘られてる。
午前の時間、こうやってあっという間に過ぎ、
お部屋に戻って、手洗い、うがいをし、テーブルを運び、昼食の準備。
食べる前、紙芝居の時間。
「はい。」と先生は大きい紙芝居をわたしの手に。
えっ?!わたし?なんか、突然で、どうしましょう、え?紙芝居なんて、やったことがないし、
子供たちを見てみたら、みんなきらきらした目で、全く疑問なく、当たり前のようにわたしを待ってる。
「ああ〜いいお天気だな〜、かくれんぼしよう…」と、わたしは虫さんの話の紙芝居を始める。
いろんな虫の名前で片仮名で出てるから、困るな、でもがんばるしかないな。
虫によって声を変えたりして、笑い声をもらえて、大きいカードから頭を傾けて下を見れば、きらきらした目がたくさんある。
なんとか無事に紙芝居を終わって、なんだか楽しくなってきた。
給食当番の子はエプロンを付ける、頭巾をかぶる。今日のご飯は、ビビンバ、スープ、お芋、りんご。
「なんでSちゃんがこのテーブルの運ぶのよ」
「だってあたしの全部やったもん、もうやることがないもん」
「T君が悪いよ、遅いんだよ、早く運んでよ」
「溢れるでしょう」T君はスープのお椀をもって、ゆったり移動。
「Mちゃん、手はお膝だよ」
頬杖するMちゃんはまるで聞こえない。
「ねね、H君見て、Mちゃんの手は膝じゃない」
「あー、Mちゃん、手を下ろしなさい」
S君とH君、右左からMちゃんの腕を引っ張る。
「ほっといて!」とMちゃんは泣きだす。
「ごめんね、ごめんね」S君はMちゃんの顔を覗きこむ。
「チェッ」H君は違うところを見る。
「ね、ふみ君のママ、食べる?食べようよ、言ってあげようか?」一緒に柔道をやるU君だ。
ふみは、おうちと違って、出されたもの、お野菜も、サツマイモも、普通に食べてた。
夕方、柔道へ。
ふみもU君は楽しそうに柔道をやった。
着替えして帰ろうとした時、R君のお母さんがU君に、
「U君、よかったね。柔道が楽しくなって。でもU君、うまいね、ずっとやってないのに」と。
「門前の小僧だね」と、着替えしながらふみは、さりげなく一言。
R君のお母さんたちに相当に感心されたふみは、やはりさりげない様子だった。
今晩、近所の神社、酉の市なんだ。暖かいけど、やっぱり行くのよした。