立冬

立冬の今日、空気はいくらかひんやりとなり、まだ寒いというほどではないが、落ち葉や枯れた枝に、なんだか寂しげなものが漂う。


朝になって、「そうだ、エプロンと頭巾を持って来るようにって」ふみが急に思い出して。

そういえば昨日、何か貼り紙があったね、急いでてよく見なかった。
ふみ、もうこういう知らせを覚えて言えるようになったんだ。いつも忘れ物ばかりなのに。


昨日は、ふみたち先生と一緒にお買い物に行って、八百屋でお野菜をいっぱい買ったそうだ。「ぼくがゴボウを持って帰って来たよ」だそうだ。


で、今日はそのお芋とお野菜たちを、年長さんが洗ったりして、調理さんのお手伝いをして、一緒に芋煮を作ったと。


ふみを保育園に入れて、毎日のように坂を降りて、公園を通り抜ける。

大きいホウキを持つお爺さんは、真夏でも、寒い冬でも、公園の掃除をする。

お爺さんは耳が遠くなって、正面で目が合う時以外、ご挨拶が聞こえないのである。


今日もそのお爺さんの背中に向かって、「おはようございます」とわたしは声をかける。

そして全く気が付いてないお爺さん。

いいんだ。こうやって同じ朝を過ごすと、ほっとするんだ。



ふみをお迎えに行って、保育園の廊下に、保育参加の時のわたしの写真が貼ってあった。
紙芝居をやってるわたくしは、サマになってるではないか。うん、がんばっておる。



「も〜う暗くなってるね」と帰り道のふみが。
「本当ね。冬至まで、暮れるのどんどん早くなるわよ、もう、冬だもんね」


うちに帰ってきて、ふみはウルトラマン人形のドミノを作り、
わたしは夕飯の用意。

そしてパパが帰って来て、
「お帰り」
「ただいま、あれ?ふみは?」
決まってカーテンに隠れてるふみに聞こえるように、パパは決まって洗面所に「あ、ふみ、ここにいたんだ。おいで、抱っこ。今日は、どうだった?」
すると決まってふみは焦って「ふみはここだよ」とカーテンから出て来て、パパに抱っこされて。


この光景、三人とも飽きず、わがやの日常となり。

ほのぼのこの暮らし、季節の巡りの中、これからも続くと信じる。