干し柿
保育園から出て、坂の下の公園は、まだ雪景色。
雪、なかなか溶けない。溶けたところは今度は氷になって。
今朝の東京、氷点下だからね。この寒さ、しばらく続くみたい。
電気が足りない今のこの時勢に限って、平年より厳しい冬というのは、神様のいたずらかしら。
電気代上がる、消費税上がる、世の中暗いニュースばかりのようだ。
浪江町のNさんが来た。
干し柿を持って、「農家がかわいそうでな、福島産と聞いたら、誰も仕入れてくれないって。おいしいのに。おいしいよ。食べて」
それからは、いつものように、やや興奮気味で話すNさん、散髪したせいか、少し元気そうに見えた。
一時帰宅だって、せいぜい2時間、高い数値の中にいられないから。
かつて飼われた牛や豚が、群れになって野生化している。犬も、ダチョウ牧場のダチョウたちも。
「そういうの見たら絶対近付かないように、逃げるようにと言われてるもん」
ある日、急に人間に捨てられた動物たち、生きるために凶暴化しているという。
やむをえないとはいえ、人間のやることは、いつもこうなんだね。
「俺は、仮設住宅から出るよ。仕事ないもん。みんな出るよ。老人、障害者、しょうがない人しか、そこにいないよ、もうじきそうなるよ。帰れると誰も思ってないもん。出ると言っても、俺の住民票、どこに移すかな…」
キャップをかぶり、大きなマスクを付け、Nさんは帰った。
どうなるんだろうね。考えだすと、きりがないね。
その間もなく、お昼ちょっと過ぎ、また緊急地震警報が。
「強い揺れを警戒してください」というラジオの呼びかけ。
とうとう来たのか、4年以内70%のあれが。
震源は茨城だった。東京は、たいして揺れなかった。
やれやれ。
夕方ふみをお迎え、塾に入れ、スーパーでお買い物、うちに帰って夕飯の支度。
奥のは、かぼちゃと温野菜。
かぼちゃは、北海道産のと、メキシコ産の。それぞれおいしい。
頼んでいたふみのフォーマルシューズが、夕飯後に届いた。
スニーカーばかり履くふみに、なれるため、毎日5分間履くようにと言った。
足の幅が広いふみには、靴が3Eの買ってる。