まるで春

夕べの風、今朝まで強く吹いて、その後ピタッとあがり、それから急に暖かくなって。
ぽかぽかの陽気、体は自然にのびのびできて、今年のこの寒い冬、長すぎたわ。

昼間、銀行のお使いに外に出て、桜でも咲くんじゃないかって思いながら、ゆっくり歩くわたし。

コートを脱いで、半袖姿の外人さんとすれ違う。

確かにコートだけじゃなく、ブーツも重苦しく感じる。

かといって、半袖になりたいとは、まだ思えないわ。
小さい虫が飛んできて、おでこにぶつかる。



ふみの傘、行方不明。
塾も保育園も見てみたけど、ないや。
今日はよいお天気だけど、明日はまた寒い雨らしい。

夕方、ふみを塾に入れて、その足で傘を買いに。


ここのところ、夕方に向かって、体調どんどん落ちていって、息苦しささえ感じて。
なんだろうね、季節の変わり目かしらね。それともまた貧血になったのかしらね。しばらく採血してないからね。


明日は休もうかなと、ほぼ毎晩思うが、朝目覚めて、また何事もないように。

けど夕方になると…、との繰り返し。貧血の時まさにこの通り。


とにかく早く暖かくなってほしいな。


デパートでは、相変わらず節電知らずで暖房をじゃんじゃんかけて、とくに今日なんか、節電の絶好なチャンスなのに。


ふらふらの中、ふみの傘を選び、購入。スニーカーが安売りしてる、しかもふみの3Eの、21センチのを購入、ふみは今20センチの3Eを履いてる。

小學校に入ったら、もう通学用と外履きを別けないから、スニーカーの消耗、すごいでしょうね。

もう一足買えばよかったかな、めったにないバーゲンだから。いいや、荷物になるし。


ふらふらはするが、頭まだ正常に動いてそう。


「暑いわね、なにこれ」他のお客もそう感じてるようだ。


買い物を済み、地下鉄に乗って、降りて、塾に向かってゆっくり歩く。

着いたら、まだふみは終わってなかった。


外に立って待つ。

雲、だいぶ増えたね。明日、やっぱり雨ね。傘買ってよかったわ。がんばった甲斐があった、うん。


塾からうちまで、長い坂を降りて、しばらく歩くと、また長い坂を上る。

ふみは、わたしを手をしっかりと握って、引っ張る。


普段、走ったり、ジャンプしたりするが、今日はゆっくりとわたしのペースにあわせてくれてる。


階段に、さきに上がって、「手を貸そうか」と手を差し伸べて。



かろうじてお風呂に入り、ベッドに横になって、
「しょうがないな」と、ふみはドライヤーをかけて、髪を乾かしてくれる。


両手で顔を覆った。
泣いてるんじゃないよ、熱風がいやだから…。




ふみの傘、うちにあった。
(∋_∈)
おとなの傘に隠れて、見えなかっただけ。

買いに行くこと、なかったのに。