歩いて
晴れた朝を迎えた。
洗濯物、気持ちよく干せる。白い手袋をした。紫外線、もう結構きてるんじゃないかしら。
日傘はいつも4月から使って、今も、ほんとうは使いたいけど、肌寒い時に日傘とは、やはりちょっと抵抗が。
まだまだ本物じゃないわ。
学童クラブ用の上履きはまだ買ってない、置きっぱなし用の半ズボンも。
お天気だから買いに行くことに。
だいぶ体力が付いてると感じて、新宿へは、徒歩でと決めた。
ほかほかの陽ざしの中、体ものびのびできて、ほんとうに歩くの大好きなんだ。
「ママは、いつもここでお注射してるんでしょう?」
ふみは通りから、ちょっと奥に行くところの小さい病院を指さす。
「そう。なんでわかったの?」
「前、パパとA公園へ遊びに行く時、パパが教えてくれたの」
へぇ〜、わたしのいない時、二人には、わたしの話題もでるんだ。しかも病院の話しなんて。
「ママかわいそうだね、たいへんね」とか、そういう会話もしたのかなって、想像して、なんだか嬉しく思った。
やっぱり誰かに気に留めてもらえるのは、暖かいことだわ。
あっという間に新宿に着いた。日曜の新宿は、歩行者天国になって。
鉛筆を買って、毎日の宿題で、ふみの鉛筆の消耗が激しい。
半ズボンを買って。
鉄道の事務室に行って、子供用の半額のSuicaを作ろうとしたが、ふみの保険証を忘れて、作れなかった。
改札は125センチ以下の身長は引っかからないが、4月から小学生のふみは、堂々と乗り物の子供料金を払うことにしないと。
さらに上履きを買いに。
試着して、決めて、急に体がつらくなった。先月、貧血がひどい時みたいに、ハアハア言うばかりで。
わたしって、懲りない人間だね。ちょっとでもよくなれば、すぐ調子のる。
注射して一ヶ月にも満ちてないのに、徒歩で新宿までなんて、無謀過ぎるわ。
でもお天気さえよければ、どうしても歩きたくなるのも、仕方ないからかな。
どこかに座りたい、でないと、このまま倒れそう。だけど、日曜日のデパートの人混みよう。
「ふみ、ママ、具合悪くなった。帰ろうね、ゆっくりと」
タクシーに乗って帰るの一番だが、歩行者天国で、タクシーに乗れる場所まで、かなり歩かないとダメなんだ。
ふみの手を握りしめ、ゆっくりと地下に降りて、なんとか地下鉄に乗って帰ってきた。
階段を登って来て、駅前のパン屋さんに入り、小さいパンと飲み物を頼んで、やっと座れた。
無謀なことしてしまったな。
ふみ、アイスココアをストローでなにかしようとする、たちまち、服にココアをこぼしてる。今度はストローをココアにつけて、吹く。わたしの顔までしぶきが飛んでくる、ココアの…。シャボン玉でも思いだしたのかな。
先日、保育園から、わが子の成長についてのアンケートの結果が。
「私が体調不良で横になった時、×××は、冷蔵庫にあるものを探しだして、わけのわからないスープを作ってくれた…」
というのがあった。
それを読んで、しばらく、これはなに?×××の小学生のお姉ちゃんのこととか?と思うほど、信じ難かった。
同じ年齢のお友達がお母さんのために、頼んでも無いのに、自発的にスープ作りなんて。こんな天使がいるんでしょうか。
ソファーに横になって、眠ってしまい、ふみは大相撲の中継を見て、誰に対しては知りませんが、身振り手振りで解説する。
千秋楽の今日、さぞ楽しいんだろうな。
お母さんはどうであろうが、知ることじゃないや。
夜、ふみのランチマットを縫うことに。
小学校のお昼は、教室の勉強机を利用して食べるので、ランチマットが必要。
ランチマットと言うより、机敷きみたいなもんで、サイズが大きい。
なので既製品にはまずないから。生地を買って作ることにした。
それを聞いた他のお母さんは「えぇぇ、すごい、作るの?えらい、私はむりむりむり。適当な近いサイズのを買うよ」と口を揃えて言う。
昔買った安いミシンがあって、お洋服を作りには難しいミシンだが、小物ぐらいは対応できる。
パパに頼んでタンスの上から久々にそのミシンを下した。
最初はいろいろと思い出せなかったけど、段々記憶がよみがえり、説明書も読んで、ミシン、動いた。
一枚、出来上がり。
ずいぶんと大きいですこと。要求のサイズにはぴったり。
もう一枚は、明日か、あさってにするわ。ランチマット入れも。
♪母さんが夜なべをして…