強風
昨日に引き続き、天気は荒れ模様。
朝は比較的に、まだ静かだった。
ベランダのアジサイ。
ずっと前からいるナデシコ。
卒園につき、年中さんから頂いたチューリップ。
いつの間にか、つぼみが。これは黄色い花が咲くのかしら。
午前、風がどんどん強くなってきて、お買い物をあきらめ、ご飯を炊いて、ふみにシャケおにぎりを作って、夕飯のカレーの仕度を。
カレーは二種類、ふみの甘口、パパの辛口。
味見したら、どっちも美味しい。
窓の外は横殴りの雨。テレビで、山手線は強風で運休との字幕が。
これはちょっと出るのよそうかなって思うけど、今日はふみのスイミングのテストの日なんだ。進級テストは二ケ月に一回しかないんだ。
「ふみ、休もうか?」
「行く。テストだから、行くよ。」
「電車動いてないし、タクシーもたぶん拾えないでしょう。歩くしかないわよ」
「いいの」
ふたり、レインコートで出かけた。
あ〜、こんな風、台風並みだわ。ふみと手を繋いで歩くが、風が飛んでくるたびに、立ち止まらなきゃならない。
特に駅前の交差点で、もう恐怖すら感じてしまって、横断を渡りながら、笑いだした、ふみとわたし。
怖かった〜 風に負けて車にぶつかって行きそうで、とにかくふみの手をしっかりと握りしめ、なんとかスイミングスクールに辿り着いた。
ふみのズボン、膝以下濡れた。
今日のテスト、ふみは緊張してるように見えた。
ふみは緊張か、照れてる時には、不機嫌のような顔になる時が多い。
ガラス越し、わたしの前を通る時に、ふみの目は下に向いたまま、つまらなさそうに歩く。
テスト前に、各級は、いつもと変わらない授業だった。
テストが始まって、子供たちはプールサイドに座り、名前が呼ばれた子は手を上げ、プールに入る。
上級の子はさすが違う、ハイスビードで泳いで、サイドで先生はタイマーをチェックしながら、「ヘイ、ヘイ、ヘイ」と大声で拍子を取って引導してる。
シーンとした雰囲気。
ふみ、呼ばれた。ビート板なしのクロール。
スタートはよかったが、中盤になって、ちょっと乱れて、ふみは一瞬クロールをやめて、深呼吸して、また始めた。
これはもうダメだな、進級できないでしょうねって、みているとわかった。同時に感心した、乱れても、ふみはよく投げ出さないで、続けたわ。25メートル、クロールで泳いだ。
サイドに上がり、ガラスの前を通るふみは、やはりわたしを見ようとしなかった。
ふみのつぎの女の子、クロールでやはり中盤まで来ると、急に苦しくなったようで、手足をばたばたして、止まって、ハアーハアーとなって、そのまま、泳ぐの諦めた。
次の男の子も同じだった。
その次の女の子、きれいにクロールで25メートルを泳いだ。
スピードもあり、動きものびのび、見ていて気持ちがいい。やはり合格はこうでなくちゃと納得させるの泳ぎだった。
出て来たふみは、「悔しい、もうちょっと早くなったらな」と。
スピードの問題だけじゃないけどね、見ているとわかる。
「ふみ、えらいよ、よく25メートルまで泳いだね、諦めなかったの素晴らしい」
「じゃ、ママ、ママ、ハイチュー、買って、ね、いいでしょう?買って」
「わかった」
Dちゃんがやってきて、「ふみ君、どうだった?」
「え?…、ダメだった」
「なんだよ、あたし通ったよ、13級になった」
「あ”−、くやしい」
「はははは、でも、ふみ君11級だもんね。前は一緒だったのに。ビート板で遊んだね、あっはっはっはっは」
プールを出て来て、風がいくらかあがって、雨はまだ降ってた。
ふみの要望で、駅でふみにハイチューを買うことに。
駅の二つの売店の間を、ふみは行ったり来たり、両方のハイチューを比べてる。
黙って、それに付き合っているわたし。
葡萄味を選んだふみは、幸せそうに、さっそく一個剥いて口に入れた。
ハイチューなんてお菓子(キャンディー?)は、初めて買ったと思う。
ビスケットやお煎餅やガムは買うけど、意味のない甘いものは、極力買わないようにしてる。
体に悪いし、虫歯にもなる。いつもふみに言い聞かせてる、「ふみは今は理解できないかもしれないけど、大人になったらわかる。お菓子でできた体は、ぼろぼろだから」
この前、パパが沖縄物産店からふみに、シークヮーサーのグミを買ったら、ふみは食べ終わっても、その袋を捨てず、寝る時もずっと握ってた。
「あ〜〜、どうしよう。合格して、パパに喜んでもらいたかったな〜」
ふみは、悔しかっただろうね。
夕飯のあと、スイミングスクールから電話があって、更衣室に、ふみの名前の書いてある水着があったと。