春雷
「ダーちゃん」、ふみはダレンちゃんに声をかける。
ダレンちゃんは、朝なのに、だるそうにしてる。
ふみは、休日に出かける時に、普通にわたしと手を繋いだりするのだが、登校の時は、一人で歩く。しかも「もうママは送らなくていいから」と言う。
まだ小学生になって一週間経ったばかりというのに、せめて大通りまでは、と母親のわたしは思う。
「ふみ、大通りに出て、誰かお友達と会ったら、その時ちゃんとママと挨拶してから行くこと」と言ったはずだが、
ふみは、登校に親が付いてるの恥ずかしいみたいで、とにかく早足。
気持ちはわからないでもないが、一人で行くのは、みんな2年生以上の子だけどね。新入生はほとんど親が大通りまで見送りしてるわ。
帰ってきてパパに、「ふみ、振り向いて、“行ってきます”とか、“バイバイ”とかもないまま、走って行ったのよ」と言ったら、
「ま、泣きながら、いやいやで行くよりは」とパパが。
ま、そうね。
通学路で、ずっとお母さんの手を握って、学校まで、下に向いたまま一緒に行く子もいる。
暖かくなったり、ひんやりしてきたりのこの季節。
午後、遠くから、ゴロゴロと雷が聞こえてきて、ザーっと降って来るかと思ったら、都内はそうでもなかった。
小学校に入ってから、やっぱり疲れが違うから、眠るのも早くなって。
今はもう夕飯を食べさせたら、まず急いでお風呂に入れることに、お風呂さえ入れば安心。
なので夕方は以前よりドタバタしてて。
朝の時間に、テレビをつけると、なんとなく見たりしてしまう。動く効率が悪くなる、ラジオを聞きながらのが一番。