朝陽

早朝の柔らかい朝陽の光の中、帽子をかぶって、ベランダの植物たちに水をやってから、しばらくじーっと見る。





何かの歌のように、「争いもしないで」、植物って、本当にそうね。だから癒されるわ。


今日はわたしのお休み。Kさんとお茶するという約束をした。


漫画家のKさんと、今は同じ小学校のPTA同士。


カフェに向かって歩いていたら、神社の横で立ち話をする女性二人に声をかけられた。
「おはようございます」

わたしも、おじぎしながら「おはようございます」。

?どなた?近所の主婦に違いないでしょうけど、でも顔も見覚えが…。


「1年の××さんですね?同じ小学校の、3年の××です」
「同じく4年の××です」

まー、〜〜、…

わたしって、ダメね。相手の方、わたしの名前まですらすらと言えるのに、わたしは相手の顔を見たこともないというのは(≧∇≦)

慌てて日傘をしまい、さらに深々とおじぎしながら、「もうしわけありません、なんだか、小学校に入ってから、もう、いろいろと頭がいっぱいで、ぼーっとしてしまって、うちは保育園でしたから、役員会みたいなのもなく、いきなり小学校PTAになって、わたし、もうついていけなくて…」

「最初みんなそうですよ、だいじょうぶですよ」

…。


やはり頭の中に???がいっぱい。
なんでわたしの名前を知ってるの?総会で前に立つすらしてなかったのに、よくも顔と名前を一致して覚えて下さったこと。


わたしも頑張らないと、まだ2ヶ月ならよかったけど、
あの方、いつまで経っても人の名前を覚えられないみたいねって、言われたらたいへん。


反省しながら歩いていると、メールが入ってきて、
「後ろにいるよ〜」

振り向いたら、Kさんだ。

コーヒーをいただきながら、Kさんとおしゃべり。

のほほんとしたKさんもやはり、PTAの気の強いお母様方が、ちょっと苦手のようだ。いろいろと伺って、わたくし、この一年、うまくついて行けるのかしらって思ったりして。


PTA、なんでこんなに巨大化になって、そしていつのまにか、まるで学校や先生方のさらに上に居座ってる感じすらうける。



感覚やいろんな基準がとても似てるKさんとのお話は、愉快なものだ。

「私、誰かとこうやってお茶をするの、初めて。PTAの方たちから誘いはあったけど、全部断った。けど、あなたから、お茶しませんかのメールをもらって、嬉しかった。」

それはそれは、恐縮です。


学童にふみをお迎えに行ったら、M君が出てきて、「ふみくんも行くでしょう、今日の柔道」

「どうかしら。湿疹まだ治ってないから、行かないとか言ってましたけど」

「行くよ、絶対行く、僕と約束したもん、今日行くって」


出てきたふみに「柔道行くの?」と聞いたら、


「うん、行くよ」

「ほらね」M君は嬉しそう。


朝、今日は柔道はいいって言ったのに。急いでうちに帰る、ふみはランドセルを下ろし、わたしは柔道着を持って、道場へ向かう。


今日はお友だちいっぱい来てた。

M君はふみをみて、「来ないかと思ったよ」と。


M君の歌手のママもいて、M君、ふみのことが大好きだって。うちでひらがなの練習に、ふみ君の名前を指を折って文字数を数えたりしてたよ、と話してくれて。


それからの会話は、自然とPTAになって。

Mだから、あいうえお順で回ってくるのは、まだまだ先だが、ラクな保育園から、行事の多そうな小学校になって、やはり戸惑うM君のママだった。


夏休み前に親睦会があるらしく、それは出ないとちょっと…、と教えたら、

さらに戸惑った「私みたいな職業は、土日関係なく、地方を回ったりするから、う…ん、どうするんでしょうね。」歌手だからか、独特な発音で、M君のママは言う。


「でもおかしいよね、親が小学校の行事のために仕事に支障でるなんて、そもそもPTAって、なんなんですかね、本来の主旨はこうですかね」M君のママは本気に心配になって、そしてちょっとイカってた。



ふみたちは大はしゃぎの楽しい一時だった。