蓋
今朝、雨は上がったのに、その青年ら、いなかった。車も。
あきらかに怪しまれたから逃げたかなって、他のお母さんにメールをする。
いないのが、ほっとしたような、残念なような。
通学路の新聞屋さんのおじさんが、ちょうどふみたちと同じ時間帯でお花を水をやっている。
今日は、ふみが「やりたいやりたい」と言い出して。
H君が、「ふみ君、おかしいよ。学校でもいつも水をやってるじゃん」
はっはっは、そうなんだ、学校でも、ふみはお花たちに水をやってるんだ。
うちでもそう。とてもやりたがって。
Tちゃんのママが出て来て、H君はすぐ「さきに行くね、Tちゃん、俺たちと行きたくないでしょう」と、H君はOちゃんと走りだした。
ふみはわたしを見て、ちょっと困った顔を見せ、少し戸惑ってから、H君たちを追っかけに行った。
ぼーっと立つTちゃん。
昨日の朝、いつもの待ち合わせ場所で、Tちゃんのママだけ出てきて、Tちゃん、みんなと行くの、イヤだと。
しっかりものTちゃん、通学路で走るふみとH君とOちゃんを、よく注意する。
言葉がちょっと厳しいのか、三人に嫌われ、どんどんエスカレートになって、
「ついて来るな」「あっち行って」「嫌い」と言いながら、走り去るようになった。
Tちゃんはとてもつらくて、一週間も耐えて、もういい、一人で行く。
とのことのようだ。
その場で何も言わなかった。
夜、ふみに長く話した。
お友だちを仲間外れに、一人っぼっちにさせるなんて、とても傷付くこと。そうされた人の寂しく悲しい気持ちを想像しないと。
ふみは深く考えてなく、またこうしたら相手はどう感じるかということを想像していないし、想像してもわからないと思う。
いろいろ話した。
ふみは、真剣に聞いてた。
ふみに、人の気持ちのわかる、人を労わることができる子になってもらいたい。
「明日、あやまるよ、Tちゃんに」
「不審者は一人で歩いてる子をばかり狙ってるから、Tちゃんを一人にさせたら、なにかあったら、ふみ、一生つらくて、悔しくて、とてもたいへんなことよ」
今朝、「恥ずかしいからみんなの前で言いたくないよ、学校で言うから」とふみが。
なのに、みんなはやっぱり走ってTちゃんを置いて行った。
夜、Tちゃんのママからメールが来て、
体育の時、ふみ君だけTちゃんのところに来て、「いじわるしてごめんね」と言った。
Tちゃんはとても嬉しかった。
「やさしいふみ君と××さんに出会って、本当によかった」とTちゃんのママが。
ま、わたしまで感謝されて。
ふみに、明日、みんな走り去ったとしても、ふみはTちゃんに「一緒に行こう」と声をかける、と約束してもらえた。
小学校に入って、一気に世界が広がって、ふみたちの生活内容、どんどん豊富になってきてるわ。
今日は瓶や缶やペットボトルの収集日、3年のR君のママ、ゴミ置き場で、ペットボトルの外していない蓋を、一個一個外してる。
「洗って、干して、学校に持って行くの。秋頃から、学校でペットボトルの蓋を集めるんだから」
ペットボトルの蓋、800個(かな?)ワクチン一本になれるもんね。
R君のママ、えらいわ〜ほんとうに感心する。
わたしも蓋を、今から集めないと。
ベルマークを知人に声をかけたおかげで、結構集まって、ちょくちょく連絡袋に入れている。
「ありがたく受け取ります」とK先生はメッセージを書いてくださる。