台風

午前、図書のボランティアで、9時前に学校に着いた。

今日は、わたし以外、あと5人のボランティアの方がいらして。

本の貸し出しのやり方と、図書の修理の仕方を教わった。


本の貸し出しは、もう完全にパソコン管理で、バーコードで、ピーッ、で完了。


とても簡単だが、わたしはするつもり、ないや、保育園児と違って、小学生は、中学生や高校生より、ずっと怖いもん、特に低学年の男の子、なにを言いだすのかわからないから。


本の修理、楽しい。一人で黙々と作業。
あっという間、一つのテープ使い終わった。ボンドも。


図書の先生が来る日なので、各学年の図書の貸し出し、今日に集中してる。

一年二年は、読み聞かせもある。

2限目に、一年2組が入って来た。「ふみ君のママだ」と、気付いた子がいた。
透明人間になりたい。


2組のN先生、女性の先生だが、颯爽として、とても格好いい。ちなみに趣味は釣りだそうだ。あと縄跳びの名人でもあり、ふみはN先生の縄跳びのいろんな技に、ずっと感服してた。

N先生は落ち着いてる声で、敬語で子供たちと話す。

読み聞かせの時は、N先生、後ろに座ってた。
読み聞かせが終わって、N先生は拍手して、ついて一緒に拍手したのは、2、3人しかなかった。


N先生は図書の担当でもあり、さっそくお礼を言われて。

いいのに、いいのに。


休みの時間に、6年生の図書員の当番が入って来た。
K君だ。通学路でよく会う、なんとなく挨拶交わすK君。
「今日はお当番?」
「はい、そーっす」
「K君って、来年、中学生ね」
「そーっすね、はい」
「どこの中学校は、もう決まったの?」
「駅前の××中学校っす」
「どうですか?中学生になるのは」
「そーっすね、ちょっと不安っすね」

ちっとも不安に見えないわ。K君、いつ会っても、だるそうな感じで、喜怒哀楽さほどないんじゃないかって、このままサラリーマンになって、お父さんになって、きっとこのままで変わらないねと思う。

「K君、Tシャツ二枚だね、暑くないの?」今日は相当蒸し暑い。

「はい、だいじょうぶっす」

明らかに、体操着を着替えるのが面倒で、その上にTシャツを着たんだね。面白いK君だ。


次の時間帯に入って来たのは、1組だ。

「あれ?ふみ君のママ」と言う子がいるが、2組と比べて、声がずっと小さい。
子供たちぞろぞろと入って来て、K先生も入って来た。

行列してる子供たちに、K先生は「我が×××小学校の図書室は、ご覧の通り、図書員の先生のほかに、地域の方や、お母さんたちのお手伝いにより、みなさんは、整えられた環境の中で、読みたい本を読むことができるのです。今日は、お手伝いにお見えになったのは、××さん、××さん、さあ、みんな一緒にお礼を言いましょう」

え〜、いいのに、慌てて立って、「ありがとー、ございます」との一斉の声の中、深々とおじきをする。
透明人間だったら。

先生によって、クラスの雰囲気がだいぶ違うね。K先生のクラス、子供たちは、立っても坐っても、背筋がピンと伸びて、お行儀よく、元気よく、だらだらとしていないんだ。

そして読み聞かせが始まる。

K先生、子供たちに混じって、一緒に床に座り、本を読んでる間、K先生は、両腕で膝を抱き、背筋伸ばし、ビクッともせず、子供たちと一緒に真剣に聞いてる。

2組と比べて、1組の子供は、明らかに集中してる、ストーリーに沿って、ちゃんと笑ったり反応も著しい。

終わった途端、子供たち全員拍手して、「ありがとうございました」と。


先生によって、雰囲気がだいぶ違うね。


ふみは、わたしを見て、ちょっと照れくさそうに笑った。

読み聞かせが終わって、自分で本を選び、借りることに。

ふみは走って来てわたしの腕を掴んで、「ママ、他のママは?みんな帰ったの?ママだけ残ったの?」

「うん。ママはふみの様子を見たくて」
他のお母さんは、みんな一限目が終わったところで、もう帰ってしまった。
わたしと地域の方一人が残ってる。

「ふみ、これ、どうしたの?」ふみの腕は紫、ズボンが緑。
「図工があったから」
なるほど、わかりやすい。

「すごい汗ね、拭かないと」ふみの頭は、まるでシャワーを浴びたばかりのよう。

言われてふみはポケットからハンドタオルを取りだして、サッと“拭いた”、拭いたと言えるのかな、汗でもないところをタオルが適当に通った、って感じ。

タオルを持って、ふみの頭を拭いてあげた。

K先生がこっちを見ている、いけない、「ふみ、授業中よ、早く戻って」


ふみの図書記録を見て見ると、「川の魚」とか、いろいろ借りてる。

生徒は一回2冊しか借りることができない。ただし2冊とも図鑑というのは、ダメ。
訳を聞くと、図鑑に慣れたら、もうその子は図鑑しか読めなくなる、やはり文字のある本の面白さを子供たちに覚えてほしい、とのことなんだ。



「ふみ」夕方、ふみに聞く「今日は自販機のところ、やってないよね?」
「うん。Hはやった。“ふみ君もやって”ってHは言ったけど、ぼく、聞こえないふりをした。“ぼくは、もうやらない”って、やっぱり言いにくくてさー」


昨日は連絡帳に、自販機のことを書いた。こんなの慣れると、いずれ万引もできるのでは、とのわたしの心配と、どう説明したら納得して理解してくれるのか自信がないことを書いた。

返ってきた連絡帳に、K先生は、「チャンスを見て、全員に指導をします」と書いていた。


安心いたしました。


台風が上陸。関東を通過するのは、ちょうど夜の間。夕方過ぎ、雨風がひどくなった。


わたしの野菜たち、だいじょうぶだろうか。

梅雨の時季に台風上陸なんて、珍しい。やはり辰年は、水害の年だわ。