お月さま

今日は旧暦の6月15日。さすがお月さまが、まん丸やわ〜
ベランダで、しばらく夜空を眺めるわたしでございます。



暑い。けどわたしは、もう慣れたというか。
例年の夏、一回ぐらいは体調が崩れる。暑さにやられて。


あるお医者さんがわたしに、母国じゃない土地にいて、その土地に慣れるのは、20年かかる。20年経てば、やっとその土地に馴染むことに、と、おっしゃって。

どういった根拠は知りませんが、わたしはその言葉を、深く記憶した。


日本の夏の、この湿度のある高温に、わたしはどうしても慣れなかった。


けど今年、猛暑猛暑とこれだけ言って、わたしは、なんとか持ってる。
考えたら、今年で、来日20年に経ったもの。


あと4、5日でもう「立秋」だわ。
それからの残暑も、まだまだ厳しいでしょう。このまま体調を保ってれば、と願うばかり。


ふみは夕方4:30、一人で学童から帰ってくる。

この前、そのつもりでわたしもうちに向かっていたが、坂を上がった途端、西日をしょってる小さい姿がこっちに向かって走ってるのが見えた。ふみだ。


もう顔中汗だらけで、焦った表情で、思わずふみを抱きしめた。「ごめんね、ごめんね」

「今日は、ちょっと早く出たから。ママなんでうちにいないの?ママ、ママって、ずっとドアを叩いてたよ」
「ごめんね」
「でもぼく、泣かなかったよ」



ふみとコンビニにアイスを食べに。

奥の飲食スペースに座ったら、少年、というか、そろそろ青年に近い、青少年が3、4人入って来た。


こっちを見ると、一人が、「こんにちは」と言った。

「こんにちは」と返事しながら、誰だろうって思った。


「支援センターでよく一緒に遊んでる」とふみはアイスをかじりながら言う。


え!?
「このお兄ちゃんたちと?」
「うん」
「同じ小学校?」
「一人だけ、5年生。あとのは別の学校」
「そ、そうなんだ」


支援センターにふみを探しに行く時、「今日は、ずっと中学生のお兄ちゃんとボール遊びをしてたよ」と、職員の方に言われたりする。

この子たちかしら。


その青少年たちは、アイスなど買って、すぐ近く座った。

店内に流れる音楽で、一人はリズムを合わせて、体をねじるように踊りだす。
「エロい、エロいな」と他の子は笑う。


なんなのよ、怖いよ。
ふみを見て見ると、まるで見えていないように、アイスをかじり続ける。

「早く食べて」とふみを小さい声で催促して、コンビニを後にした。


「ふみ、あのお兄ちゃんの前で、ママと一緒にいるの、だいじょうぶなの?」
「え?」
「や、だから、恥ずかしいとか」
「ないよ、別に」とふみはわたしの手をつなぐ。


ふみ、こうやって少年になって、やがて、青年になって行くのでしょう。


だいじょうぶかな、あんな大きいお兄ちゃんたちと遊ぶなんて、あまり一緒にいないほうがいいのでは。

「彼はそうやって強くなっていくから」というK先生の言葉を思い出す。


そっとしておいたほうがいいかしらね。ちょっと心配だけど。



塾の宿題、算数の英語が足りなくて、午後、電話してから、わたしが取りに行く。

「お母様、ふみ君は、ほんっとうに頑張ってますよ、お母様はご存じ?ほんとうに」と塾の先生が真剣な顔でおっしゃる。


ふみは相変らず毎朝起きて、7時まで、塾の宿題をやっている。