大会
一目惚れの簪。
この深みのある紅色、秋らしくて。
朝の薄ら肌寒い中、ベランダのお花を見るのは、幸せな一時になる。
4時に学童クラブへ、ふみとM君をお迎えに。
「あれ?ふみ、ズボン、これ前後逆じゃない?」
明らかにお尻にあるはずのポケット、前にある。
「え?あ〜、体育の時に着替えしてたから」
「直してよ、このまま柔道に行くのは…」
「いいのいいの」
ふみは、また意味なく道場までずっと走って行った。
後ろで歩くM君とわたし。
今日は、先生に、11月の、区の柔道大会に出るようにと言われて。
思わず笑ってしまった。「ふみは、無理でしょう」
「そんなことない。小学生になったし」と、先生は至って真面目。
ハッハッハ、ふみは、ふざけてばかりで、試合なんて、ご冗談を。