騒ぎ

パパは今日から関西へ出張。

昼頃から、霧のような雨が降り出して、湿潤な空気が嬉しい。寒さは増したけど。
予報だと15℃まで上がると。とてもそうは感じないわ。


宿題を終わらせて、午後、ふみと柔道道場へ。

今日は集まりがありまして、スイミングを振替して行くことに。

子どもたちはお稽古をして、
その間、T先生が巨大なお鍋で、塩ちゃんこを、お一人で黙々と作ってらして。

申し訳ないなと思ったら、毎年そうだと、みんなが。


そう言えば、冬のお鍋、夏のバーベキュー、わたしは参加したことがなくて。今日が初めてです

ちゃんこ鍋は、T先生の得意料理らしいです。


出来上がったのを頂いたら、確かに、なんとも言えない美味しさにびっくり。

お野菜が苦手のふみも、軟らかく煮込んでるせいか、全然気にせず、美味しそうに食べて、「ね、T先生、柔道より、お店をやったほうがいいよ」と言って、
先生は嬉しそうに笑うのです。

たくさんのお野菜が入ってるけど、ふみ、おかわりして食べてました。


Kくんのお父さんも来ました。
Kくんのお父さん、これで会うのは二回目ですけど、とても芸能界関係の仕事をやってるように見えなくて、寡黙で、おとなしくて、真面目な感じです。
Kくんと同じく端麗な顔立ちです。

疲れているのか、居眠りして、その後、お鍋が始まった時は、ビールを飲んで、


Kくんのお母さんが即、あまり飲まないようにと助言して、
「私はお酒は強いけど、この人はダメなんですよ、すぐ酔っぱらっちゃうから」と。

本当だ、Kくんのお父さん、一缶かな、飲んで、もう横になりました。

「これから電車に乗るのに」とKくんのお母さんは心配そうに。

終わって外に出たら、隣公園で子供たちは、はしゃいで、Kくんのお父さん、気分が乗って参りましたのか、ベンチに立って、花壇へジャンプ、


当然到達できなく、転んで、傘まで折って…

Kくんのお父さん、照れくさそうに笑って、立ちあがって、

でも、とても優しそうな、いいお父さんです。

Kくんのお母さんは以前わたしに、
「もううちは全部私が決めるの、パパはなんにも言わないから」と。
そういう家庭は大体安定な家庭。




Uくんが道場に来たのは、もうお稽古が始まって、少し時間が経った時でした。


寒い雨の中、現れたUくんは、なぜか薄着で半ズボン姿。

思わずUくんの手を握りしめ、「寒くないの?もっと着ればよかったのに、雨は降ってない?」

「降ってるよ」と言って、Uくんは涙がこぼれて来ました。「ママがね、ママ、ママに怒られた、このまま行けって言われた」Uくんはシクシクし始めて。

「泣かない泣かない、だいじょうぶよ、お母さんも疲れてるから、大人はお仕事で疲れるのよ。子供は怒られないと大きくならないのよ、ふみも年中怒られてるよ、平気平気、Uくんのお母さんはUくんのことが大好きなのよ、いつもそう言ってるよ」
わたしも何を言ったらいいのかわからなくて、とにかくあの寒い雨の中、薄着のままで一駅分の距離を一人で歩いて来たUくんがかわいそうでたまらなくて。

柔道着を着させて、
だんだん落ち着いて来たUくんは「喉渇いた」と。

確かに唇は白く皮が剥けてます。

「わかった、冷たいのがいい、温かいのがいい?」と言ったら、

側のKくんのお母さんが声をひそめて、
「ちょっと、おかしいよ、あのお母さんを助長しちゃダメよ、何もしないで雨の中、子供を出して。柔道をやるのに、飲み物を持たせるの当たり前でしょう、いつもあなたが買って、もう1年間買ってあげたんでしょう、これ以上ダメよ、あなた、人がよすぎるのよ、利用されて、こんなのダメ…」

わたしのことをここまで思ってくれて、ありがたく思って、けど、Uくんの皮剥けた唇を思うと、わたしは、やはり走ってお茶を買いに行きました。

稽古が終わって、お鍋の時間に、Uくんのお母さんは来ました。

Kくんのお母さんすぐ普通にごあいさつして、さりげなく「ね〜、外は寒いね、子供たち動いてるから暑いみたい。Uくんも喉渇いた喉渇いたって言ってね、Aさんが飲み物を買ってあげたのよ…」

(-_-)/~~~


Uくんは、とても繊細な子で、怒られてもケロッとするふみと違って、Uくん、とても気持ちの重いといいますか、そんな子なんです。


保育園の時、Uくんは、風邪をひいてるわたしを見ていて、翌週、会ったら、まず「風邪、直った?」と聞いてくる子なんです。

ふみなんか、わたしが風邪をひいてることすら、ほとんど知らないのですから。


そんな繊細な子を、お母さんはもう少し配慮したほうが。
母子家庭だからその余裕は足りないのかもしれませんけど、うん、よくわかりませんけど、とにかくUくんのお母さん、悪い人ではないです。

眉間にしわを寄せる時が多いせいか、パッと見た印象は、ちょっと不機嫌のような。でも、たまに笑う時、はっとするほど(この方、元はきれいな方でしょうね)って。



柔道の稽古中、Kくんのお母さんとお喋りの時に、携帯が鳴って、
学童のOさんからでした。
「S・Hくんは、お宅に行ってませんか」と。

うちは今、柔道に来てるので、Hくんとは会っていないです、と答えたら、
わかりましたと、Oさんはすぐ切ったのです。


その後、Uくんのお母さんが来て、それでわかったんですが、
S・Hくん、お昼にうちから出たまま、戻って来ないとのことだそうです。

びっくりして…、
その時、Uくんが、自分で歩いてくる時、交差点で警察に呼び止められて、
「S・Hじゃないよね」と言われた、と言って。

すぐメールでほかのお母さんに連絡して、そのお母さんから電話かかって来て、やっぱり帰って来てない、もう警察は動いてます、と。

警察は、わりと早いうちに動いたようです。

S・Hくんはふみと同じ学校同じ学年の子で、ふみと組が違うんです。

のんびりして、個性的な男の子です。

寒いですし、暗いですし、心配でたまりません。


居ても立ってもいられなくて、でもパパがいないから、ふみを置いて探しに行くわけにもいかなくて。一人のお母さんから電話がかかって来て、思い当たるところは全部探したし、警察も動いてるから、あとは情報を待つだけしか、と。

広報の掲示板に投稿して、広報担当の6人にメールしたら、
すぐみんなから反応があって、
「だからなんですね、今日はスポカルの書道教室の時、急に主事さんが入って来て、S・H君はいませんかって、なんだろうと思いました。こういうことだったんですね。心配です」
「私は別件でH先生から電話があって、H先生は、これから学童に行きますとおっしゃるから、不思議に思ってた…」

PTAの会長も委員長たちに連絡、もちろん先生方も動いて、

夜8時、Tさんから電話があって、「見つかった!」と。

(T_T)

詳細はまだ分からないですけど、Tさんはちょうど副校長先生と担任のN先生に会って、と。


や〜、嬉しくて、慌ててメールを。

「とにかくよかった」
「ほっとした〜」
「見つかってなにより」


ふみも喜んで。

柔道から帰ってきたふみは、「手を洗ってから祈るよ」
ふみはアデノウイルスのあと、真面目に手を洗うようになった。

ふみは、紙でS・H君だと絵を描いて、「Hかんばれ」と書いて。