病み上がり

夜中、ふみの咳がひどくなり、そのつど背中を叩いてやったりして、結局わたしもあまり眠れませんでした。耳にイヤホンをしてラジオを聞いて。

今日、もう一回病院に行ったほうがいいね。咳止めを頂けたら。
薬局で咳止めのシロップを買ってもいいんですけど、そういうの大抵眠くなるので、やはり医者に診てもらって、量が正確のがいいわ。


火曜日に学校へ健康カードを取りに行った時に、担任の先生に、土曜日の作品展を、ぜひふみ君と一緒に観にきてください、と言われまして、


けど、昨夜また氷点下になったので、今日は寒いです。
二人ともよく眠れてなくて、作品展、よそうかなって。


でも、先生から、そう言われましたし、その時にわたしも「はい」と答えてしまいました。
それに、六年生のボランティアのペットポトルの蓋の収集が今日が最終日ですから、貯まった蓋(ほとんどWさんからもらった)は大きい袋にいっぱいなので、持って行かないとね。



ふみは朝から塾の宿題を完成させ、マスクを付けて、二人は、時おり吹いてくる冷たい風の中、学校へ向かいました。


今日は、スポカルが主催した芋煮大会もあります。


各自が食材を持ってきて、校庭で、巨大鍋で作るのです。


わたしはそれに興味がなく、広報の取材もないですから。
ふみは「芋は食べたくない」、
とのことで、参加はしません。


登校道で、食材を持って、楽しそうに学校へ向かう子供を何人も見かけました。


玄関に行ったら、2組の担任のN先生が作品展の受付にいらして、
「K先生は二階ですよ」と。

え〜、先生たちもいらっしゃってますか!

来てよかったわ、これはこれは、いささか冷や汗。あわや来るのをやめようと思ってましたから。


二階の作品展の会場に行ったら、K先生がいました。

わたしたちを見たら、すぐ近付いて、
ふみに向かって手を伸ばして、握手を交わして、
K先生、ふみを見つめて、急に、柔道を組むようにも見えて、ふみを抱きしめるにも見えて、しばらくその姿勢でいました。

ふみ、無表情に無言。

なによ、ふみ、その素っ気ない態度は。
先生を抱きしめ返すこと、できないの?家じゃ“抱っこ抱っこ”ばかりで。なにクールを装ってる。



作品展、高学年のは、なかなかおもしろいのがありまして、写真を撮ろうと、バッグをいくら探しても、携帯、見つからないや。


肝心な時に持って来てないなんて!

諦めるしかないです。

ふみたちの教室の近くに、小さい机があって、上に、
お箸、お豆の入ってるお皿、なにも入ってないお皿、砂時計、があります。

記録できる用紙も置いてありました。

1分間に、お箸で何個お豆を移動できるのか、という常設のコーナーらしい。

ふみと、やることに。

どうせこっち側の廊下に誰もいないとわかってるからか、気付いたら、「うそー。難しいよ〜、このお豆、油塗ってるんじゃない?いやー」とわたしは叫んで、「ふみ見て見て、こんなたくさん!すごいでしょう」

「砂時計、とうに動いてないよ」

「え〜〜〜」

気付いたら、副校長先生が後ろに立ってらして、
「あ、こんにちは」とわたしは言って、
ふみがまだ振り向いてない時に、副校長先生、後ろからふみの髪を、ゴジョゴジョして、笑って、階段を下りて行きました。

「誰だろう、全然わからなかった」とふみが。


帰りに、ふみは校庭にいっぱいお友達がいるのを見て、どうしても校庭を通って行きたくないと、正門から出て、ぐるっと回って、南門から出るわたしと合うことに。

校庭を横切る時、「ふみ君のお母さんだ、こんにちは」
ふみのクラスメイト、S君とS君、「ふみ君は?来ないの?」と。

「来たけど、芋煮大会は参加しないから、さきに帰りました。また月曜日からよろしくね」


帰り道で、バッグから手袋をだそうと、な、なんと、携帯はバッグの化粧ポーチにありました。ポーチは閉めてなく、中に横になって。


もう遅いわ。


今日は、ふみの体操着も持って行きました。

夕べ、同級生のH君のお母さんから電話が会って、H君が、ふみの体操着を持って帰って、お渡しします、と。

ありがたいですが、けど、その体操着、ふみは全然使ってないのよ。
月曜日に持って行って、その日は体育を見学し、お昼に、早退したっきり、学校を休んだままでしたから。

H君のお母さんの話しだと、水泳教室で、S君のお母さんと会って、S君のお母さんが、ふみ君がインフルエンザになってると言って、

それはたいへん、と、H君のお母さんがH君に、ふみ君の荷物や、運べるものとかがあったら、やってあげるようにと話し、それでH君が気をきかせて、そうだ、体操着…。と。

S君のお母さんが…、(@_@;)、なんでふみがインフルエンザだとご存じなの?S君に話していなければ、S君と学童も全然ちがいますし。


恐るべし、インフルエンザの驚異的な“名声”。


小児科に行って、
診察室から、男の子が出て来て、出てきたら、即ソファーにゴロンとなって、お母さんは以前同じ保育園の顔見知りで、わたしを見たら、その息子さんを指さして「A型だって」と苦笑いする、「××、起きて起きて、早くお薬のもらいに行かないと、ほら」


大流行りですね!


わたしはS先生に「木曜日の保護者会だったんですけど、わたしは行かなかったです。他のお母さんの話しによると、休んでるのは、ふみだけでした」

「…木曜まで誰も移ってないのなら、もうなっても、ふみくんのせいじゃないですから、どこかからもらったでしょう、もうふみくんからもらったことになりませんから」

よかった〜、月曜日は堂々と登校できるわ、誰にもご迷惑をかけてないから。

病気もつらいが、人の迷惑を考えるのは、もっと負担になってる気がします。

前回もアデノウイルスも、わが子だけだったということは、あのたいへんさの中で、少しの慰めでした。


午後は、ふみの水泳、しかもテストの日です。


ふみは「眠い眠い」と言って、行きたがらないです。


心を鬼にして、薬を飲まして、何とかふみを連れてスイミングスクールに。

背泳ぎのテスト。まず練習。ふみ、進む方向は定まらないわ、両腕ドタバタに見えるわって、見ているわたしは、後悔しました。

何と言っても、病み上がりですから、無理させて、結局不合格なら、かわいそう過ぎるわ。


テストが始まって、ふみのいるコースは、まず11級の子たちのクロールのテスト。


その次、ふみたちの10級の背泳ぎのテストです。

一人男の子が、のびのびときれいな形で、まっすぐに背泳ぎで進んでます。

慣れてるね、これなら問題ないね、…待って、ふみだ!
プールサイドに上がり、わたしが座ってる窓の前を通って、ふみは笑顔を見せました。


病み上がりのふみ、25メートルの背泳ぎをきれいに完成、合格し、9級に進級しました。


前回の進級も、病み上がりの時だったんですね。


すばらしい!ふみ。

「ふみ、がんばってよかったね」
「うん」
ふみは、嬉しさを隠せないようすでした。



パパにメールをして、パパも感心してました。


歩いて帰って来て、すぐ大相撲中継

ワンタンスープを作りながら、わたしはテレビをちらちら見ます。

把瑠都、負けたね、大関なのに」とわたしは言ったら、
「もう大関じゃないよ。関脇まで下された」
「なんで?」
「負けてばかりだから」
「なんで?」
「左の足、骨折ったから」
あららら。



小さい時に好きだったチャップリン、ふみにも好きになってもらえたらと思って、DVD全集を買いました。

いろんな短編が入ってます。



お風呂上りのふみは、それを見て、ケラケラとわらって。



薬のおかげで、今日のふみは静かに眠ってます。

今日も二人は1万歩超えました。
今日もきれいな夜空ですこと。