T君

今日は快晴だが、北風が強く、寒いです。


ふみと正式に「不二」という書道会に入りました。

これから真面目に宿題をやって、提出して、見てもらって、進級して、いつか“段”になる…。
わ〜、考えるだけで気が遠くなりそう。


ふみは、少しも嫌がらず、じゃんじゃん書いてます。

先生の宿題の「はる ハル」を、何枚も。


わたしは、なさけないほど、うまく書けないのです。

幼稚園生の字の如く。


コツコツやれば、いつかは…、やはり気が遠くなりそうだわ。




学校の上履きを洗っていて、ちょっと破れそうなところを発見。
学校の近くの、あるお店で、指定の上履きを売っていますが、
風が強すぎて、出るのが億劫になって。

でも午後は、ふみの水泳に行かないと。


ふみの英会話教室で発表会がありまして、ふみは入って間もないから、今回は不参加ということにしました。もちろんふみの意見を聞いて。


スイミングスクールに行く途中、英会話教室に、ふみを一人で行かせ、不参加の用紙を提出してもらいました。


「受付の方に何か言われました?」
「残念ですねって」


スイミングスクールで、ふみと時間待ちの時、後ろから、ふみの頭がポーンと叩かれ、振り向いたふみは、「T君!」と、とっても嬉しそうでした。


T君とは、違う小学校の3年生です。たまたまスイミングの時間帯が一緒で、ふみと話すようになって、T君の名前は、長いカタカナなので、ふみはT君に「なに人?」と聞きました。

なんとそのT君は、モンゴル国から来たというのです。

来たのはもう長かったのか、それともここで生まれたのか、T君は、名前を見ないと、日本人じゃないなんて気付かないのです。

ふみは、びっくりして、それからT君に会うたびに、「なに人?」と聞くのです。

T君はあきれた顔で、「モンゴル人だよ、何回聞くんだ」と答えるのです。

するとふみは、にこにこと、なにも喋らないです。


T君の一家を見かけたことがあります。

若いご両親と幼い妹、4人で幸せそうに歩いてました。


前に、駅でT君のパパと真正面に会いまして、「実はわたし…」と言おうと、喉まで出て、また飲み込みました。


T君のお父さん、やや怪訝な顔をなさって、すれ違ったのです。

昔のわたしなら、言えたのかもしれないのだが、今は、もう、飲み込むのが、ほとんど。

飲み込むほうがいいと思うようになりました。



スイミングの帰りに、ふみと学校の近くのお店で上履きを買って、さらに歩いてスーパーへ。

そこで、またT君と会いました。

お父さんとお買い物をして、妹はお母さんとおうちでお留守番かしら。


ふみ、走って行って、T君の手を繋いで離さないのです。
T君、照れくさそうに「なんだよ」


T君のお父さんは、わたしに軽く会釈して「お世話になっています」

笑顔で会釈だけのわたしでした。「実はわたし…」と、飲み込むどころか、喉に登って来ることすら、ありませんでした。


苗字も名前も長いT君は、ふみと、お互い嬉しそうにいました。


帰り道、ふみに「そんなにT君のことが好き?」
「わかんない」と、ふみは微笑む。
「なにがそんなによかったの?」
「わかんない」と、ふみは、やはり微笑む。


ちなみにT君とお父さんでは、モンゴル語でも日本語でもなく、英語で会話をしていました。