8日目の蝉
打水すませて お座敷までは
少しあいだの ある素足
ーー 都々逸
夕べ遅く、たいへんなことに。
一人になると、いつも恐れているのは、あの“ゴ”のつく生き物です。
よりによって、一人でいる時に限って、“ご”はでます。
念が呼んだんだわ、きっと。きっとそうです。
言葉の通じない同士こそ、“念”が通じるのです。
前に、一人で 、へんなものは、来たらどうしよう、と、そればかり思ってたら、なんと、台所の窓から、ヤモリが入ってきました。
「出てって下さい、出てって下さい、あなたは歓迎されていないです。お手手にちゃんとかわいい形の指がついてるけど、わたしは、ダメなんです。出てって下さい」と、強く“念”を発しましたら、
ヤモリ、また窓から出ていきました。
夕べは、
へんなものは出ないだろうね、今年は異常な暑さだから、“ゴ”は出ないねって、みんな言ってます。
我が家も。なので今日限って、なことはないよ…、あった!!
歯を研いてたら、横に、茶色い影…。
「ギャー」
歯ブラシを投げ出し、リビングに逃げる。
あ、蛇口、水、出っぱなしだ。
けど、洗面所には戻れないや。
でも、世の中、今、水不足なんですよね。
頑張ろう、おそるおそるドアを開け、腕を伸ばし、手に持ってるテレビのリモコンで蛇口のレバーを叩く。すぐドアを閉める。
ソファーに座ってテレビを観ていると、なんだか、耳元で、ジョロジョロと水の流れる音がして。
幻覚よ幻覚。二度と洗面所に行かない。
微睡む。
目覚めたら、12時近くなっていて、
普通に洗面所に入って、( ̄□ ̄;)!! 蛇口から、細い水、ジョロジョロ!!
もう、いやだ〜
あの茶色い影と比べて、大きさ比べられないでしょうに、情けない。
いいえ、いいえ、それを言っちゃおしまいだべ。
だってさ、ピストルと人間、比べられないべ、
だけど人間さ負けるべ。
今日は、どんと構えて、“退治するぞ”との念を発します。
午後、雷がゴロゴロ、それからの豪雨は、凄まじいほどでした。
坂道は、たちまち激流になって、
幸いすぐ上がってしまいました。
学童へ、ふみの上履きを届けに。洗って干して、来週からまた使いますから。
それからコンビニに寄ってみると、
学童の職員のOさんを見かけました。
飲食スペースで、本を読みながら、フライドポテトを食べてました。
老眼鏡をかけて、ページをめくれば、フフフと笑い、手をフライドポテトへ伸ばします。
へぇ〜、
いつも厳しい顔でわたしにお説教をしてくださるOさん、なんだか、人間味を感じて、勝手にほっとするわたしです。
ふみ、今日は本格的な釣りをしたんだって。今までは釣り堀でしかなくて。
朝から、ウニとお刺身が食べられて、
南部鉄瓶のお店で、鉄の小判を買ってもらって。
さぞ楽しいでしょうね。ふみ。
夏休みに入った途端、「早くおばあちゃんのうちに行きたい」って、毎日のように言ってましたから。
わたしの夕飯は、ゴーヤタイカレーです。