ゆびわ

簪を楽しんでおります。

物理的に決して大きい存在ではない簪だが、持たしてくれる雰囲気が、こんなにも測りきれないものだとは。




ほんとうに涼しくなりましたね。

夜はクーラーなしで眠れるなんて。信じられなくて。

ここの何日間、小雨が降ったらやんだり、多少蒸してる時もありましたが、涼しくなりました。
秋の長雨。


朝起きて、ふみは塾の宿題をして、それからご飯を食べて、それからの登校までの時間は、一人ではしゃいでます。

もう、よっぽとエネルギー有り余ってるのかしらね、見ているだけでもヘトヘト。


小さい時、近所のお兄さんたちが、そういうエネルギーを消耗しきれない、くだらないことをばかりやっている小学生に、決まり文句のように、「やることないなら、石炭でも洗え、白くなるまで洗い続けて」



今日、それを思い出して、ほんとうほんとう、けど、石炭、ふみは見たことがあるのかな。ないと思うんですけどね。



夕方、ふみとサックスレッスンへ。

ふみは、だいぶ先生と慣れてきたのかな、サックスを組み立てる時も、終わってからサックスのお手入れの時も、先生にいろいろお話しをかけてました。

「先生は小学校の時の夏休みは、長いんですか?」

「う…ん、長くないよ、ぼくね、札幌の生まれだから、寒いところだからね、夏休み、うん、7月下旬から、8月下旬までだよ、短いよ」

「え?短くないよ、ぼくと同じですよ」

「あ、そうか、ははは、じゃ、もう学校ははじまったんだ、夏休み、もっとほしいよな、で、学校で嫌いな課目って、なに?」

「算数、国語も面倒、全部面倒、体育は一番楽しい」

「ははは、そうか、体育が得意なんだ」

「でも、体育も得意じゃないのがあるよ」

「例えば?」

「例えば、運動会のために練習するダンスなんか」

「ダンス?そうか、はははは」


「だって、ダンスなんか、あんなの体育じゃないもん」

(なにその発言は)と思うわたし。

「そうだよな、ダンスはダンスだもんな」

(先生まで!)と思うわたし。


「先生は夜テレビ観ますか?」


「今日?今日ね、ダメだな、ここ終わるのは9時過ぎでしょう」

「9時までやってるんですか?」

「うん。帰ったら、10時過ぎになるよ、テレビね〜、うん、あまり観ないかな」

「10時過ぎ!? そんなに?じゃ、お弁当を持って?」


「ここじゃ食べられないから、うちに帰ってから食べる」


「へぇ〜、10時過ぎにやっと食べられるんですか〜」


…。


今日は、「オーラリー」を練習しました、ふみの初めての曲です。


帰り道に、ふみに、サックス教室で、あまりお喋りしないほうがいいと言ったら、

「レッスン中じゃないもん、お喋りは」

「それはわかりますけど、なんだか、あまり親しくなると、レッスンがだれるじゃないかなって、緊張感がなくなるから。習い事は、よい緊張感が必要だと思うよ」


M先生はそもそも、とても優しい先生で、いつもにこにこ、のほほんとしてらっしゃるから。
ふみは、緊張感がなくなると、家の様子が教室で全開なら、困るわ。

石炭ないし。→意味わからない。


「とにかくぼくはレッスン中お喋りしてないから」

「わかりますけど、念のためというか。それにしても、M先生、たいへんですね、10時に帰って、やっと夕飯だもんね、おうちの人もたいへんね」

「M先生は一人じゃないかな、一人だと思うよ」

「どうして!?」

「だって、指環はつけてないもん」


(O.O;)

ゆ、ゆびわ!?

ひゃ〜、わたし、M先生の手をばかり見ていたのに、まったく気付いていなかったわ。

今日だって、M先生は、CDの伴奏に、「オーラリー」を吹いて、とても流暢で(当たり前だけど)、わたしは、M先生の手の動きをずっと見て、聞き入っておりました。
なのに、指環があったかどうか、記憶まったくないです。


子供というのは、さりげなく、なにを観察し、なにを推測してるのか、恐ろしいぐらい。

ふみの同級生の女の子と会うと、いつもチェックされてる目線に、緊張してしまいます。

男の子は、なにも見ちゃいないにみえるが、町に歩いていると、後ろから声をかけられます、「ふみくんのお母さん」と。
よくわかりますね。

あっ、わたし、着物だからか。