ノック
帯留めに関しては、きれいなのより、おもしろいのが好き。ユニークのが好き。
夕方、ふみとサックスレッスンへ。
先生は、「始まる前に、まずちょっとお説教をしようかな」とふみに向かって、「さっきね、ノックもせず、いきなり入って、“いいですか?”とか、ダメですね。人のいる部屋に入るのは、まずノックか、“ごめんください”か、しないとダメですよ」
「はい」とふみは先生に背中を見せたまま、サックスを組み立てる。
「こっちに向かないとダメですよ」
「はい。ごめなさい」とふみは体を先生に向かい、軽く頭を下げて。
(+_+)
一瞬、頭に真っ白。
ふみを叱っているのだが、わたしは、母親の自分が叱られてると感じて、固まってしまいました。
基本の礼儀、指摘されると、わたしは、苦しい。
わたしは、礼儀のことを言われるのが、なにより苦しいことに気付いた。
日頃ふみを注意してるけど、なんでこんなことが。
ふみは、言われて動揺したのか、最初のいくつかの音程が定まらなく、その後、いつも通り、笑顔もあり、リラックスの様子。
わたしは、ずっと固まったまま、泣きたいのか、出ていきたいのか、ただただ微動せず、時間が過ぎるの堪えて、堪えて。
ラブミーテンダー、わりと流暢に吹けたふみに、先生は驚いた顔を見せ、「うまくなったね」
「練習したから」
「そう〜、練習したんですか?うちで?」と先生はわたしに向かって。
口、開けない、どうしでも開けない。
礼儀のことを指摘されると、わたしはこうなるんだ、さらに気付いて。
ふみが、「カラオケです」
「カラオケに行ったんですか?」と先生はさらに明らかにわたしに。
口、やはり開けない。どうしでも、固まったまま、まっすぐに座っているだけ。
悲しい気持ちでいっぱい、一番気にすることを指摘されると、ほんとうに、もうだめ。苦しい。
ふみが「先生が言ったあのカラオケで、ワンカラじゃないほう、30分練習した」
「そぉ〜、あっ、ごめん、もしかして、それでさっき、練習した曲を早く吹いて見せたかったかな」
「や、そうじゃなくて、ただ、うまくなりたかった」とふみは。
先生がテープで伴奏をかけ、ふみはサックスを吹き。
それから、なんとなく気付いたら、ふみと帰路。
夜、ふみに、「どんな関係でも、礼儀を忘れる時点で、もうおしまい、少なくとも、もうひびが入る。どんな関係でも、礼儀を忘れると…」と言い聞かせて。
来週のサックスはお休み、助かります。
2週間経てば、わたしは、だいぶ落ち着くのでしょう。
わたしは、もう誰からもなにも言われたくありません。
堪えられないですから。
もう、ほんとうにいや。
今日はサックスレッスンがありますから、夕飯は作るのが間に合わないですので、
夕べ、圧力鍋で豚の角煮を作って置きました。