金木犀が薫る

幽かな香りが漂う。
金木犀が咲いたのです。

やはり今年の秋は、訪れるのが早いですね。



従兄に、
あなたの着物は、いつも充分渋くて、せめて帯を明るくしないと、老けて見えるよ。
と言われまして。


(^-^ゞ


そうなんですよね〜、着物は。

明るい色の着物を試して買ったのが、全部落ち着かなくて、落ち着かなくて。

似合わなくて、似合わなくて。

結局わたしは、地味で、古めかしく、という色にしか。

わびさび、に、どうしても惹かれる、とのことかしら。

せめて帯や半襟を明るくしないと、と自分も思ってるんですけど、ついつい。


従兄は色彩など、拘りのある人です。職業的の面もあるのかもしれませんが、小さい時からそういうセンスは優れるものでした。

その“ダメ出し”は、いつも為になってます。




夕方、ふみとサックスレッスンへ。


来月から、4:30に新しい生徒さんが入ったので、授業は、5時から5時半までぴったりとなる、なので教室に入ってからの組立や、あとの手入れは、時間がもったいないので、廊下でやってからのほうが、
と先生がおっしゃって。


そうじゃなくても、わたしはずっと教室に入ってからの、ふみのだらだらの組立やお手入れなど、時間がもったいなくてもったいなくて。

準備して、教室に入ったら、授業だけにすべきだわ。



親指でオクターヴキーを上手に押せないふみだったが、だいぶ操れるようになりました。

先生がかけてくれた伴奏に、ふみは曲を吹いて、伴奏があるためでしょうか、それらしく聞こえて、

たいしたことです!まだ半年も経たないうちに。
素晴らしいわ〜
やはり子供というのは、なんでも飲み込みが早いものですね。


授業が終わり、サックスはまだふみの首にかけたまま、わたしはすぐケースを抱えて、先生にお礼を言います。

「や、お手入れ、ここでいいですよ、今日は、まだだいじょうぶですから」

「いいえ、廊下でやります」

「そうですか、まだいいのに、あ、ちょっと待ってください」


「いいえ、だいじょうぶです」

「だいじょうぶですじゃなくて、落ちてますから」


「だいじょうぶです、拾います」

「やや、拾いますじゃなくて、踏んでます」

踏んでます?「あらやだ」、わたし、お手入れ用のクリーニングスワブ を踏んでるのじゃありませんか。

なんで?ケースを上向きに抱えているのに、いつの間にか。

慌てて一角を拾いあげて、

「やや、踏んでますから、まず足を」と先生が。


「なにやってるの!?」とふみが。


(∋_∈)


夜、学校の連絡帳を開いて見ると、担任の先生の字が何行も、

え?何かがあったの!?

読んでみたら、休み時間に、校庭で“手野球”をやっていたら、ボールがふみの右目に中り、右目の周りは腫れ上がり、保健室で手当を受け、それからの授業中はずっと右目を保冷剤で冷やして、腫れはひきました…、
と。


えぇ!? なんで言わないのよ!

「ふみ、目はダメよ目は、特に右目は、ずっと言ってるでしょう、うちは、右目を呪われてるのよ」

親族の中で、病気やケガで右目がダメになる人が何人もいるから。
父親も、年取ってから、右目の視力が急に失われたのですから。

「なんで右目を呪われてるの?前もそう言ってたね。なんで?」


「なんでも!」


ずっと前、一人特殊能力を持つ少年が(当時のわたしより少し年下)、
「あなたのうち、昔のうち、大きい屋敷だけど、入口のあたりに、女性のシャーマン一人が、呪文の書いて紙が埋めてある、それによって、あなたたちの一族は、右目の病に患いやすく、特に男子、気を付けたほうがいい」
と言われたことがあります。


確かに、父方の親族に、卓球のラケットで右目を中って、眼球が斜めになったり、
視神経のやまいで右目が悪くなったり、

父親も結局。


今は、大きい屋敷もなくなり、その入口あたりに埋められた紙は、今いずこ。

シャーマンね〜、どういう因縁があったのだろうか。
ま、知りたくもないけど。

「とにかく目は気を付けないと、特に右目は」。

また市ヶ谷の目の神社にお詣りに行かないと。



それにしても金木犀の香りは、心に沁みる香りですね。


坂を上るふみを、たまたま7階にいるパパがシャッターを押して。