懐かしいね。

英語は昼に終わり、ふみと淡路町へ、

錯覚美術館に行きました。

いろいろ動いてる図、静止している図、
静止しているのに、動いてるように見える図、

錯覚って、面白い。が、わたしは苦手である。


高校の時に、列に並んでいて、わたしの前に立っている同級生の女の子の洋服は、赤い幾何模様の生地でした。
その規則正しい波のような線たちをずっと見ていると、急に目眩し、吐き気をしてきて、列から離れたことがありました。


ふみはこういった絵が好きなようです。

描いた絵を、模様加工してくれて、錯覚の絵になる、との一角で、ふみはさっそくタッチペンで、スタッフの大学生のお姉さんに聞きながら、画面上に絵を描き初めて、


一筆の絵じゃないとダメだとのことで、ふみは魚を描きました。


模様を加工され、さらに葉書になって、渡されたのです。


錯覚と別れ、淡路町の街を歩きます。

「ぼく、別に歩いて帰ってもいいよ」とふみが。

わたしだって。


靖国通りを沿って、帰路へ。


いろんなお店があって、知らない町は、面白いです。


あっという間、神保町に着いて、ふみは、前回立ち寄った古本屋さんで、「ぼく、地図の記号が弱いからね」との理由で、
この本を買いました。

「今回の店員さん、“中身を拝見しますか”で言わなかった、前回の店員さんは言ったのに。あ〜、ぼくやっぱり古本屋さんが好き、パパと同じだ」


ミニチュアが飾ってあるお店を覗いたら、
外国人のきれいなお姉さんの店員さんが、片言で挨拶をしてくれました。

ゲームの世界は、わたしもふみもわかりませんが、パーツを自分の好きなように色を塗って、ミニチュアを完成させる体験があると聞いて、ふみはすぐやってみたいと言い出して。

空想の世界の生き物、
小びと、
人間、
「あなたの世界観によって、選ぶジャンルを決める」

せ、世界観?!

わたしって、よっぽどゲームをバカにしてましたかな〜、世界観なんて言葉、ゲームに関連すると思いませんでしたから。


「人間の世界の、一番強いのにします」とふみが。

へぇ〜、それがふみの世界観の現しかしら、

そうだろうね、小さい時から、サンターの存在を信じたことないみたいで、「クリスマスプレゼントは、親が用意してるに決まってるよ」とか。


その“人間の世界の一番強いの”を、太いブラシでシルバーを塗って、細いブラシで緑を塗って、
ふみは集中していました。


ふみは、終始淡々と、あまり表情もなかったです。どういう心境なのか。

完成した作品。










しかしミニチュアたち、実に素晴らしい、別世界に連れてってくれると言いますか。



市ヶ谷で、目の神社をお詣りにしようと、なんだか“ついでに”の気がして、それは失礼になりますから、明日、改めて出直すことにしました。


「や〜、懐かしいね。懐かしい」、振り向いたら、初老の男性が立ち止まっていました。

「懐かしいね。なんだか、二人のファッション、ぴったりだ。あなたも、この坊やも。や〜、こんな白い帽子だった、昔は。や〜、いいところの坊や、きれいなお母さん、いいね〜、うん、懐かしいね」と、男性は去りました。

ふみと顔を合わせて、ふみは男性の後ろ姿に、「ありがとうございます」と小さい声で。

昭和のにおいをする親子、ってことでしょうか。


今日は、一万三千歩でした。