うどん
ふみの顔のもみあげあたりに、がさがさのような、ぶつぶつのようなのを、去年から出てきて、
湿疹かと思ったが、引いたり痒がったりもないですけど、
親だから、近くてじーっと見てるとわかるけれど、他の人にはなかなかわかりづらいです。
でも、やはり一度診てもらったほうがと、今日、ふみを連れて皮膚科へ。
土曜日だから、混んでて、混んでて、二時間近く待って、やっと診察室に入れました。
N先生が見た途端、「違う違う、湿疹でもニキビでもないですよ、こんなことよくありますよ、二の腕だったり、足だったり、結構ありますよ、なんともないですよ」
「あら〜」とわたしは笑って、確かに、わたしは二の腕にまったく同じ感じですね。
ふみがわたしに「ほらそうでしょう、なんもないって言ったよ、ぼくは。どうしてくれるの、二時間も待って」
わたしだって二時間も待って、ふみのためよ、自分のためじゃないのに。
1時過ぎでした。
お腹も空いて、近くのうどん屋さんに入りました。
とっても小さいうどん屋さんですが、ずっと気になって一度食べてみたかったのです。
手打ちで、粉からお醤油から、だしまで、なにもかもそのうどん職人さんのおこだわりで、
小さいお店ですけど、入ったら、Dちゃんと妹とお父さん、三人すでに座って食べてました。
ふみより一学年下のDちゃん、わたしと会ったら、いつも話しかけてくれて。
「ふみくん」と、Dちゃんの妹まで、
「おっ」と小さく手を上げて、小さい声で、ふみはDちゃんたちに挨拶らしきことを。
わたしに威張ってばかりだけど、女の子と会ったらいつもこの調子です。
わたしは野菜のかき揚げうどんの“小”を頼んで、
ふみは肉うどんの“中”を。
ふみは、まず上に載せたお肉を食べて、それからうどんを少し、それから「ママこのうどんを食べて、ぼくこの“小カレー”を頼みたいから。すみません〜、この“小カレー”ください〜」
ちょっと〜、(;´д`)
「うん、このカレー美味しい、キャンプの時に食べたカレーと同じ味だ」
なんでわたしはふみのうどんを食べなくちゃいけないのよ。
残したいのだけれど、小さいカウンターのお店で、そのうどん職人さんの目の前で、残すのは失礼でしょう。
黙々と、わたしはふみのうどんを頂くことに。
「食べてくれる?はい」急に目の前にスプーンが伸ばされて、
カレーの味見でも?と思ったら、カレーについてる福神漬けでした。
ふみはお漬物を一切食べないもので。
そのスプーンいっぱいの、カレーの付いてる福神漬けを食べて。
(+_+)
「ごちそうさま」とふみはお店を出て、わたしは慌ててお皿を運ぶわ、椅子を戻すわ、荷物を持つわ…。
「ふみ、ダメよ、わがままよ、大体ママをなんだと思ってるの?使用人じゃないんだからママは…」
「はいはい。支援センターで遊んでくる、2時半に帰ってくるね」
「ダメよ、2時半にもう出ないと、英語」
「じゃ、2時15分」とふみは走り出したのです。
「なんなのよ、山本五十六じゃあるまいし」自分も訳のわからない発言をぶつぶつ。
ふみ、年々変わっていく、どころか、月々著しく変わっていく、わたしはどう対応するのか、わからないまま。
花びらが強い風に転がって。
八重桜は、花吹雪。
なんとなく、寂しい光景で。