花
「にせ物だよにせ物」とふみがこの小さい蘭のことを言うのです。
何ヵ月前に、世界の蘭展に行った時に、わたしが買ったのです。
ふみが買った小さい蘭は、咲いて、散って、今はベランダの片隅に、休んでいます、
わたしのこの小さい蘭、ずっと咲いて、にせ物かと思うぐらい。
ある流派の生花を、ふみはこの日曜日に、習いに行くことになりました。
習いというか、触れる程度です。
その流派の本部で、月に一回、来年の春まで。
最初はふみはいやだいやだと言って、お花やお茶の、基本的の教養を身につけてほしいから、一生懸命説得して、しぶしぶとふみは応じました。
ふみは、お花とかに興味ないと口では言ってますが、実はそうでもないです。
小さい時から、お散歩の時に、わたしの知ってるお花への僅かの知識を教えたら、ふみは、すごく覚えています。
駅までの道を歩いてたら、「ママ、そこ曲がったら、伝説のつつじがあるよ」
「伝説の?」
「そう、周りと違う色なの」
小学校のOB会のOさんと会って、ふみはご挨拶してから、「あ、そうだ、Oさんに聞かないとわからないことがあって、あのね、学校で、実を拾って、見たことがない実で、Oさんが今度学校に来る時に、見せるね、Oさんならわかると思います」
生花、月ー回、触れる程度、ちょうどいいと思います。
たとえ触れる程度でも、身につければ、教養となり、センスが磨かれます。