いつの間にか

まだ少し早いかしらって、この帯留をつけながら。



蓮のつぼみ、いつの間にか、もう。




夕方、病院へ行く道で、



日本の四季は素晴らしい。
天候も、植物も、節句も、その時季その時季、少しも退屈なく。期待を持たせてくれて。
最近、梅雨のしとしとの静かな雨まで、好きになりました、



病院からの帰路、ぼんやりと歩いて、ふと、目の前の女性、赤ちゃんをおんぶしていることを気づきました。


よく見てみたら、女性は、曲がり角あたりの豆腐屋さんの方です。


赤ちゃんは、すやすやとお母さんの背中で眠っています。

真ん丸の腕、拳を握ってる小さなお手手、ぶらぶらと揺れる真ん丸の足、
お母さんと同じく、白くて、きめ細かくて、まるで絹ごし豆腐のようです。


「今日、もうあがり?」とすれ違ったおじさんが豆腐屋さんの女性に向かって笑顔で話をかけて、


「ええ。少し早く上がらせてもらいました」女性は柔らかな笑顔で。


「あら?」と、おじさんは女性のおんぶしている赤ちゃんを気づいて、

「そうなんですよ」と女性はやはり柔らかな笑顔で、

「あらー、そう〜、いつの間に!」

「一月に生まれたんです」


「そう〜、それはそれは」


そういえば、赤ちゃんはまだ首据わってないから、ネットのようなので頭を支えてもらってるんですね、

すやすや、すやすやと、母親の背中で。



色白な母子の後ろ姿を見て、ふわふわな気持ちになるわたしです。