不思議な

夕べ、ふみは、「僕、明日朝5時に起きるから、サッカー見るからね」と。

目覚まし時計もしないのに、本当に5時ちょっと過ぎ、一人コロンと起きて、ずっと観戦。

なでしこ、勝ってよかったですね。



今日は、深川のお不動さまにお参りに行こうかなと思いまして、
朝からギラギラの日差し、暑そう〜


今日は28日、お不動さまのご縁日ですから。
ふみ、お不動さまの大ファンで。


しかし、梅雨明け?って思うほどの空ですね〜 31度との予報ですし。


でも、昨日より湿度がだいぶ低く、爽やかな感じしなくもない。



地下鉄を乗り換えて、門前仲町で降りて。


深川不動尊のお参り。


お不動様、怖い顔で私たちをお迎え。

ふみは、ずっとお不動様が好きで、かっこいい、かっこいいって。
そのためか、わたしもお不動様を、「かっこいい」に見えてきました。



ご縁日の今日は、護摩焚きを一日何回かやるのです。
1時のに参加しようと、護摩木を頼んで、急いでお昼を済ませます。



せっかくですから、深川めしを頂こうと、一軒の深川めしの小さいお店に入りました。


ふみは、あさりのかき揚げ丼を頼んで、
わたしは、深川丼を。

昔からのあるお店のようで、もうあまり歩けないのかと思われる、一人のお歳のおばあちゃんがレジに座って、ずっとお嫁さんらしきの60代の女性に怒鳴ってる、
「40円はどこに置くのよ!」
「さきに注文を聞くでしょう」
「水もう運んだ?だからこれがあの40円って言ってるでしょう」

そのお嫁さんらしき60代の女性、おばあちゃんに向かって、一応ニコニコしてますが、お料理をテーブルに運んでくる時、抑えてる怒りが入っているのか、「ドン!」と。
びっくり。


初老の男性が入ってきて、「おっ、今日、怖いの座ってる!ハハハハ」と、
その“怖いの”は、あの動かないおばあちゃんのことです。

常連客のようです。七味入れの瓢箪を開けて「おっ、今日はちゃんといっぱいだな。七味を入れないと美味しくないからな…」



中年夫婦模様のお二人が入ってきました。わたしとふみの隣席に座りました。

女性は、なにかの天ぷらセットを頼んで、男性は何かのどんぶりを頼んで。


お料理が運ばれて、男性は、自分の食べるより、ずっと女性のセットを興味を示して、美味しそうに見えて、食べたいのでしょうか。

「ねね、×ちゃん、三個もあるよ、食べられる?無理しないでね、無理しちゃダメよ。ね、無理して全部食べなくていいよ。三個だよ、三個も」

三個というのは、かき揚げのような丸い形の三個の揚げ物がお皿に並べてあること。


女性は適当に返事して、ゆっくり食べ始めて、美味しそうだから全部食べるよとの感じ。


「な、×ちゃん、無理しなくていいんだよ。そのためこの俺がいるんだから、残してぜんぜんいいよ、俺が食べてあげるから、全然だいじょうぶだからな」

なるほど、“この俺が”食べたいのだ、結局は。


男性、あっという間に自分のどんぶりを平らげて、「な、×ちゃん、全部食べるの?多くない?いいよ、そのためにおれがいるんじゃないか、食べてあげるから…」

男性の凄まじい食い意地。


ふみと出てくるまで、男性はしつこく女性を説得、女性も女性で、大した根性、黙って、ゆっくりと味わいながら、自分のペースで食べて。

二人、なにがあったのでしょうか。
たとえば、女性が過食症だから、男性が一生懸命心配してやってる、とか?
あるいは、女性はものすごく気遣う人で、残したら悪いと思って、いつも無理して食べる、とか?


「あの人、すごかったね」とふみが、
「あの人って?」
「あの座ってるおばあちゃん、40円何とか何とか、怒鳴ってたね」

確かに確かに、そっちもすごかったわ。
不思議なお店でした。

味は、ちょっと濃いかな、わたしには。

もし次来るとき、ここは、もう、いいかな。



1時からの護摩焚きのため、場所取りに、12時過ぎに入りました。
椅子じゃなく、一番前の畳の一番前で坐って、砂かぶり席、って感じ。


大きいお堂、あっという間、人でいっぱいになりました。


護摩焚き、一時間以上でしたが、
あっという間でした。


手を合わせて、お経を聞いて、炎を眺めて、お経を唱えて、

気付いたら、わたしは涙が止まらなくて。何回もハンカチで目を押さえて。

大きい太鼓の響き、五臓六腑まで振動されて、こんなありがたいありがたいと思うお経、あまりなかったかもしれません。


護摩焚きの火の柱のそばまで、ふみは列に並んで、自分のカバンを僧侶に渡して、火にあぶって、お祓いしていただきました。


縁日だから、今日は本堂の大きなお不動様に、並んで触れられます。

ふみは両手で一周触って、手を合わせて、お不動様の真言を声出して唱えてました。



こんな間近に護摩焚きを見るのは、初めてです。
迫力に圧倒されました。


「もうおやつの時間だね」とふみが。
暑いし、一軒の氷屋さんに入りました。

お店は、老姉妹(かな?)が、やっていて、一人はショウケースの中にいて、レジ兼飴などの物売りを、
一人は、エプロンのポケットにおしぼりに入れて、お水と一緒にテーブルまで運ぶ、その都度、浅いポケットからはみ出したおしぼりがテーブルの角にぶつかり、床に落ちて、
「あ、すみません」と、拾ったり。

店、満席。小さい店ですけど。

坐った途端気付いて、このお店、冷房がないのです、セーロの中いるみたいで、そりゃ氷を食べたくなるわね。

待てど暮らせど、氷は来ない。



手前のわたしのいちご氷、これはまだ手つけてないのに、すでにこんな状態です。

わけはというと、氷を運んできて、見事におばちゃんは、手を滑らせ、いちご氷の上の半円のアイスを、テーブルに落としてしまいました。

おばちゃんは、とっても自然に、「ごめんね」とふみからスプーンを取って、手早く、ふみのスプーンとわたしのスプーンで、アイスを挟んで、また氷の上に載せました。

( ゚Д゚)
半円のはずのアイス、ゴジャゴジャに。
おかしくて、ふみとひそかにしばらく笑って、「よくこれで済ませたね」とふみが。



ふみのブルークリーム氷、恐ろしいブルー。

店内は、優雅なクラシックの音楽が流れてます。


やはり、こちらも不思議なお店でした。


夕方、秋風のような風が出てきて、ひんやりとなって、9月末を彷彿します。
梅雨の最中なのに、不思議だわ。