連絡帳

10度以上の、春の匂いして、ぼんやりした霞のある、青空。

もうこのまま、春になっていくのかしら。

ふみが貰ってきた「姫水木」を、ヨガ教室に生けてみました。ボケを下の方へ少し加え。
うん、悪くないわ。
ヨガの生徒たちは、みんなお花が好きで、詳しいです。生ける甲斐があります。

ネイルをやめてから、爪のお手入れを努めます。ぴかぴかに磨いたり、クリームを塗ったり。


仕事から帰って来て、学童へ、買った41個のカバンを届けに行きました。

ベテラン職員の0さんが、マスクを付けていても、険しい表情が伺えます。
「ふみくん!ふみくん!」と0さんはふみを呼ぶのです。

ありゃりゃ〜、これはふみ、またなにかやったに違いないわ。
カバンの搬入、今日じゃなきゃよかったかしら。

ふみはわたしを見ると、とても焦った顔になって、なにかを言おうとしたら、0さんに阻止されました。

0さんがわたしに、「お母様、2月4日の連絡帳、御覧になりましたか」
「2月4日…、えっと」
「ふみくんはお母様が御覧になったと言うのです。本当かどうか知りたいです」
「えっと、2月4日、急に言われまして、ごめんなさい、思い出せなくて…」

思い出してるわ。
連絡帳、最後の1ページがないです。確かにそのページーの半分は前日の知らせが貼ってあって、わたしは読んだ記憶があるのに、なんでないでしょうって、ふみに聞いたら、「知らない」と答えられ。紙切れも残ってないきれいだったので、不注意に破れたこともないって思って、疑問はあったが、そのまま、それは済んだのです。

その紙、やはり破れられたのですね。

マスクの0さん、かろうじて怒りを抑えてる様子で、
「2月4日のこと、私がお母様にメッセージを書きました。なのに、そのページー、ない!ふみくんに聞いたら、ふみくんが、ママに見せて、ママに怒られて、もう気持ち悪いから、だから破って捨てました。私は“じゃ、お母さまに確認してもいいんですね?”と聞きましたら、“いいよ”と答えましたから、なので…」

「ああ、はい。ほんとうに、申し訳ありませんでした。もう、体ばかり大きくなって、まだまだ幼いもんで…」

「お母様はご存知なんですね、ならいいんです。ま、悪いところが書かれて、見たくない、との気持ちはわかりますけどね、でもね、決まりは決まり。守らないと。1年生から見ると、4年生はもう怖いぐらい大きいですから、飴玉の交換と言ったって…」

“飴玉”、“交換”、これは節分の豆まきのことですね。
なんとなく見当が付きましたわ。

あやまる、あやまる。ぺこぺこ、ぺこぺこ。

外に出て、ふみはチラチラとわたしを見ながら、黙って歩いて。
「ふみ、ママはずっと言ってたでしょう?“ウソ”とはなにか、ウソは、バレルこと、ずっとそう言ってきたね?バレタ時、その倍なって戻ってくる、言ったのね?」
「うん。ごめん」
「今日のことはもういい、ママはもうなんも言わないから。ママの言いたいことはわかってるのね?ウソは、目の前のその短い時間はラクなのかもしれないけど、倍になって、倍のたいへんさになって待ってるのよ」
「うん」


遠回りして、薬局へ、洗剤など、たくさんのお買い物をしました。大きい袋
が二つ、ふみ、何が何でも全部持つと。
いくらなんでも重過ぎるから、ふみと、取手を片方ずつ持ちました。

日がだいぶ長くなりましたけど、帰路はもう、すっかり暮れましたね。