お花見

雨、なかなか上がらない。
午前、ふみと傘をさして、小雨の中、土手へ、お花見を。

ふみは12時半から塾なので、フランスパン屋さんで、さきにお食事を。

春休みの間、ふみは毎日12時半から5時過ぎまで、塾です。
よく文句なく頑張ってるわ。

土手のサクラのトンネル、ため息つくほど、美しい。

雨の中、儚くて。

お花見、わたしにはここが一番。

ふみに、「いつか、ママがこの世にいなくなっても、ふみは、お花見は、毎年必ずしてね、約束よ」

「警察長官になっても?」
「そう。“長官、お車が待っております”、“5分だけ待ってくれ”、“あ、はい”、“おふくろは花が好きでね、毎年桜の花見だけでも必ずするように約束したんだ。季節折々に何のお花が咲いてるのもわからない人はつまらないって言ってね”」

「ふふふ」

「約束だよ」
「わかった」
「さくら、年に一回しか咲かないのに、見ない人は、かわいそうな人よ」

雨あがって、ふみは塾へ、わたしはペットショップへ、ポリーの餌を買いに。

ペットショップの外に、アフリカのメジロが置いてあって、小っちゃくて、機敏に飛び回り、見入っているわたしに「どうも」との声が、
振り向いたら、少年でした。
ふみのサックスといつも同じ時間帯で、少年は隣の教室でピアノを。

ふみと同じ年かな、なにかと面白い子です。

エレベーターで一緒になって、「ずいぶん薄着なのね、寒くないの?」とわたしが聞いたら、
「平気。島生まれなんて、皮膚が分厚いんだ」と少年が。

島生まれには見えないな、色白で、細い体に繊細な顔立ちだもの。

「あ、こんにちは。ここでなにを?」
「ぼくですか?ま、子供店長なようなもんです。よくここで遊んでるというか、お手伝いしてるというか」

それから少年は案内をしてくれて、店内の各コーナーを紹介してくれたのです。

「イグアナは草食だから、やさしいし、おとなしいよ。触ってもいいよ」と少年が。

それはちょっと店員さんに聞かないと。

「あ、そうだ、200円出せば、バナナ1本買えるから、イグアナとかに餌をあげられるよ」
「え?ほんとう?」

店員さんに聞いたら、本当だと。


巨大なイグアナを、触りましたよ!

バナナをあげると、要らないっと、目をつぶりました。

お腹も撫でた。しっぽも触った。

イグアナ、体は静かだが、目、鋭い!

「わたしは悪い人じゃないよ、ちょっと仲良くしようと思っただけだから、ごめんね、びっくりしないでね」とのわたしの言葉に、イグアナまた目を閉じた。
少年が笑う。





この子はバナナは食べる、食べたら、とっても大きい声で「バイバイ!」と叫んで、びっくり。


この豚ちゃんが、どこに行ってもずっとついて来る、人なつこくて。


フクロウはかわいい顔して、バリバリの肉食で。


ドイツのカワセミ

これはトカゲなんですって、思いっきりヘビなのにトカゲなのね。

ベロが青色。
イグアナは全然いいけど、ヘビは厳しいわ。
ふみは、トカゲもヘビもかわいいというけどね。

少年にお礼を言って、お互い名前を教えて、「よろしくお願いします」と、さよならしました。



スーパーでお買い物して、夕飯は、シュウマイと餃子を作りました。
ふみの唯一お野菜を取れる食べ物です。

シュウマイには、1個半の玉ネギを入れて、
餃子には、黄色い韮・キャベツ、椎茸が入ってます。