まるでゆめ

最近専ら使っている、櫛です。

しかし髪をまとめて、櫛を飾る人、もう、あまりいないでしょうね。



昼御飯を早めて済ませて、ふみと電車に乗ってボクシングへ。


わたしはコメダに座って、刺繍を。


カウンター席。
隣の50代の女性、店の新聞を持って、拡げて、カメラを持って、立って座って立って座って、新聞記事を捲っては、パシャパシャと写真撮る、捲ってはパシャパシャと写真を撮る。
立って座って立って座って。

やっぱりこの町、面白いわ。


女性は立ち上がって、また違う新聞を持ってきて、
立って座って立って座って、パシャパシャ、写真を撮る。


隣のわたしは、着物姿で刺繍をする。

どっちも普通じゃないかしら。



ふみ、ボクシングのあと、いつものように、清清しい感じで。

また電車に乗って、ちょうどいい時間に一緒に英会話教室に入りました。
わたしはテキストの支払いです。

今日から新しい先生です。
眉毛は白に近い金色で、イギリス人です。
ふみすぐ近付いて「ハイ〜、ハロー」
先生「オー、ハオアユー」
「アイムファインサンキュー」

イギリスの方、いいですね、杉下右京みたいな、きれいなイギリス発音、ステキだもの。



Kさんのスマホ、一々役場の発電機のところに充電しに行って、なんとか使えてます。

ずっとKさんとラインでやりとりして。

ライフライン完全にダメになって、炊き出しの白いご飯だけもらって食べてます。

夜中1時の大きい地震に、あたり土煙で一瞬なんも見えなくなったって。


昼過ぎ、Kさんからラインで写真をいっぱい送ってきました。


倒れた家屋、道路の亀裂と陥没。

なんだか、実感が湧かなくて、これがKさんの目の前の光景だが、わたしには、どこかの資料写真しか、浮かばないです。


本当に生きた心地しないでしょうね。


Kさんは、いつもと変わらない冷静さと落着き、ただ、“疲れた”との言葉を何回も。


火曜日の夕方、ふみは塾ですし、わたしはお買い物があるから、新宿へ行きたいと、Kさんに、一緒に新宿まで歩きませんかと誘いました。

Kさんは新宿から乗り換えして帰宅するので、快く応じてくれました。


風は時々あるけど、まあまあ暖かい夕方に、Kさんと新宿まで、歩く。

「なんか、無性にソプラノが聞きたくて」とわたしが言ったら、


「ありますよ、ソロコンサートは、週末なら、どこかしらやってると思う、ちょっと待って」とKさんはスマホでいろいろ調べてくれて。「オペラは高いけど、ソプラノのソロコンサートなら、手頃ですね」

「ほんとうほんとう、オペラは、よほど気合いを入れてないと、なかなかチケットを買う気持ちにならないですよね」

「でも、考えたら、あれだけの人数、海外から、旅費でしょう?宿泊代でしょう?すべて出演者関係者のお給料でしょう?舞台や道具…、チケット2万前後確かに高いけど、でもこれでやっていけるのかなって思ってしまうよ」

「ほんとうですね…」


お喋りして、新宿について、大きい書店に入って、

本をあっちこち見て、
わたしが支払って、Kさんを見当たらなくて、“入り口にいます”とラインをして、

まもなく、“ごめんごめん”とKさんが来て、

書店の前で、
「では、私はこれで」とKさん、

「明日、また早朝の飛行機ですね?では、また来週」

「また来週」


その後すぐ、ラインに、Kさんから某大手ブランドの新商品の写真が送ってきました。
マネキンたちがカラフルな洋服を着て、
「ずいぶんレトロなデザイン」とKさんが。


長くアパレルで勤めてたKさん、こういうの敏感です。


水曜日、Kさんは帰省し、

木曜日のラインに、夏日の中、いろいろ家庭菜園用の苗を買った、との内容。

木曜夜、地震。Kさんの実家は、震源地。