濛々たる霧雨
降ってるのか、降ってないのか、細かい霧雨が朝から静かに舞う。
洗濯物が困らなければ、梅雨はそんなに嫌いじゃない。
雨の中の紫陽花が見られるのも、一つ嬉しい要因。
梅雨らしい帯留に。
夕方、帰路に歩いてたら、バイクの男性がすれ違う時、「あ、こんにちは」と言われて。
「こんにちは」、えっと、どなたかしら。
あっ、ドンドン・コンコンコン、思い出しました。
山車を押してた方なんだわ。
鳶職のおやじさん。
法被を羽織って、山車を押して、前に歩く山車をコントロールする弟子さんの青年を、「前を見ろおまえ、よそ見すんな!」と怒鳴りながら、撥をわたしに差し出して、「叩いてもらっていいっすか」
え?!わたし?
それからおやじさんと並んで、おやじさんが山車を押して、わたしが片手でドンドン・コンコンコンを、ずっと歩きました。
「車が来たよ〜」と後ろからの声で、おやじさんが「左、左、左に言ってんだろう、おまえ」とまたお弟子さんに怒鳴る、お弟子さんは振り向いて笑う。
怒鳴る、と、わたしには、そう聞こえたけど、案外それが普通かも?、と、お弟子さんの笑顔を見て、そう思いました。
「昔、こっちのほうがえらいもんな、今じゃ譲ってやんないとダメだもんな、んったく」とおやじさんは去った車に向かって。
わたしは終始、黙って、片手でドンドン・コンコンコンと、お弟子さんに負けないぐらいの笑顔を見せる、だけでした。
「こんにちは」鳶職のおやじさん、わたしのことを覚えてくださったんですね。
塾から帰ってきたふみは、パパと一緒に出目金の水を換えたり、餌をやったり、甲斐甲斐しく。
ふみが持ってきたお米です。
学校でお米作りをしていて、まだ収穫していないです。
今日は、お米作りの方が学校に来て、お米の話しをされて、みんなに少しずつお米を配ったそうです。
少しだから、あまり興味ない人もいて、ふみ、あっちこちお友達からお米をもらい、持って帰ってきました。
一粒一粒剥くんですって。たいへんだ、わたしもお手伝いを。
ふみ、案外こういうことが大好きで、真剣に剥いてました。
やはり、気が遠くなりそうだわ。
剥いて、玄米になって、お粥にしよう。
手間暇をかけて、ふみ、もうご飯をこぼしたりしないならいいな。