雨宿り

雨の中、来客。


ね、入れておくれ。濡れるの嫌なんだ。

なにを言ってるんだ、カエルのくせに。

聞いておくれ、あれは雨蛙のことだ。ぼくは違うんだ。濡れるの嫌なんだ、苦手なんだよ雨が。


雨蛙もひき蛙も、両生類でしょう、雨が苦手というのは、ずいぶんわがままな話しなんだね。



ですから、いろいろあるんだ、一言蛙と言っても、みんな同じじゃないんだ。



なんで雨が苦手なのさ。


それは、それは、話せば長くなるから、もう雨なんて、一生降られたくないだと、それは、それは、とにかく嫌なんだ。



さっぱりわからない。蛙のくせに、なにがあったというのよ。



わかった、わかったよ、邪魔したね、悪かったな。


ちょっと、どこに行くのよ、こんなザーザー降りの中。

いいんだ、いいんだ、ありがとうな。

ちょっ、ちょっと、別に、入れないと言ってないじゃない、どこにいくのよ、すごい降ってるよ。

ありがとうな、さようなら。




カエルはかえった。次の、しつこく“わけ”を聞いてこないところを探しに。