憐憫

Yさんが仕事先に持ってくださってお花です。

赤いカラーは、まるでマンゴーのようです。

紫のは、アガパンサスです。
今の時季、アガパンサス、路傍でよく見かけます。けどわたしは、そのカタカナの名前がなかなか覚えられないです。

意味がわからない発音は、覚えられないもの。

選挙の掲示板のポスターに「お花の名前を全部和名にする」との志を書いた候補者がいたら、わたしは即一票の入れるのでしょう。


下校したふみ、ランドセルを下ろしてすぐ、「公園に行くから」と、急いでドラゴンボールのなんとかカードをカバンに詰めて、


「公園?今日はサックスのレッスンが…」

「わかってるわかってる、4時15分に帰って来るから」

「えぇ〜、でも…」



毎週金曜日、同級生たち公園で集まって遊ぶのです。お受験するお友達はほとんど行かない、塾で忙しくて。

公園で集まってるのは、お受験する子としないお友達、
ほぼハッキリと分れてます。クラスの半々近いかな。


遊ぶときの安全のため、遊ぶ子のお母さんたちも公園にいて、見回りするのです。



先月、ふみは二回行きました。
そうしたら、楽しくて仕方がないようで、それはよかったけれど、ふみ、すっかり勉強が面倒くさがって、ドラコゴンのカードばかりになってしまいました。


お祭りの夜、Bさんたちとパトロールをしているとき、公園遊ぶ派のSくんのお母さんと会いました。Hちゃんのお母さんと屋台で楽しそうにビールを飲んでらしたのです。
チカチカと光る誘導棒を持っているわたしを見て、手を振ってくれて、
わたしも近づいて、「未成年の飲酒はダメよ」と冗談を言ったら、
二人「あら、ばれた?内緒よ」と冗談で返して、

Sくんのお母さんが、「そういえば、ふみくん、塾やめた?」
「まだ行ってると思うけど」
「そう?金曜日に公園に来てるから、やめたのかなって」


ふみ、公園のため、勉強が面倒くさくなって、とうとう、ついこの前のテストに、点数が落ちて。

今、また行こうとする。


「ふみ、せっかく先生とリベンジをする約束したのに、また公園…」とわたしはふみの足に虫よけをスプレーをしながら、
「わかってるわかってる、あのね、ぼくはそこまでバカじゃないから、もうちゃんとわかってるから」と。


走って出て行って、4時15分頃、ふみは帰ってきました。


シャワーを浴びて、ふみはサックスのレッスンへの用意。雨が降ってきたので、なんと、文句言わずにレインコートも、サックスを守るためでもあるけどね。

「ふみ、楽しかった?」

「うん!」

「よかったね」

「うん、わかってる、こういうのは、気晴らしに過ぎないから、もう安心して」

まあ〜


夕飯食べながらふみが急に、「ハハハ、今日、“かわいそうだ”と言われたよ」
「へぇ〜、誰に?」
「Kくん、公園でね、“ふみくんがかわいそうだから、あげる”ってね、ドラゴンボールのカードをくれた。ぼく、“かわいそう”って言われるの初めて、なんか、ちょっとびっくりしたな」


かわいそう…、
Kくんには、お受験なんかしようと、公園で思いっきり遊べないふみくん、かわいそう、でしょうね。


Wさんのことを思い出しました。
休みの日にRくんはよく博物館や美術館巡りをするのです。良いご趣味だとわたしは感心しますが、
Wさんは、「Rくん、休みの日、美術館ばかり行ってるみたいよ、博物館とか、若いのに、かわいそうよね、かわいそうよ」

(;´∀`)

ふみ、公園で遊ぶことに、ちゃんと免疫ができていたようで、一安心しました。