雷
道端、巨大な一輪。「アメリカ芙蓉」です。
昼から空が暗くなって、雷の音がだんだん近づいて、あっという間、雨がザーザーと降って来ました。
なんだか今は、雨といえば、ゲリラ豪雨になって。
穏やかに穏やかに。
「ふみ、これなに?」
「あ、Mちゃんからの鉛筆削りの、その中に入ってたの」
「すごいね、世界一かっこいいだなんて」
「ちがうちがう、僕がそう書いてって言ったから」
「本当?そうかな」
「本当本当」
ふみ、絶対誰か女の子が自分に好意を持っているのを認めないほうです。
それにしてもMちゃんの字のきれいなこと!
「ふみって、モテるの?」
「モテないモテない、全然モテない」
「そうかな、ふみに世話を焼く女子、結構いるじゃない。そういうのモテないと言えないよ」
「“モテない”と言ったほうが、いろいろラクなんだよ、都合がいいというか」
あらま。
集中講習の二日目、ふみはだいぶ慣れて、地下鉄に乗って通うのも、ちょっと楽しそうに見えて。
「楽しいわけないじゃん、勉強なんて。ま、達成感があるといえばあるけど」
夕方、ヨガの時、雨は上がりました。
ヨガが終わって、先生はたどたどしく「昨日、今日は、満月です。台風、月は、見えない。昨日も見えない、今日も見えない。見えなくても、満月は、あります」
今日は、パパが集中講習の会場まで、ふみをお迎えに行って、二人でその駅の近くで夕食を摂りました。
わたしがヨガから帰って来ても、二人はまだ帰って来ていなかったです。