おうまさん

やはり蒸し暑い、秋の気配がまたどこかに隠れました。
蝉時雨。
コオロギの鳴声はまだ聞こえてこないや。


ヨガの先生、著しく弱って来ているような。

教室中では、生徒のみなさま、気付かないはずです。
依然として大股で歩きます、軽々と一般の身体能力を遥かに超える動きをします。
座禅をしていると、お顔は幸せそうな笑みが浮かびます。
相変わらず、遠慮深い、相変わらず極力に人に迷惑をかけない。

謙虚、脱俗、決して威張ったり、自慢をしたりせず。
先生ほど物欲のない人間、わたしはみたことがないです。

こんなに大先生でありながら、こんなにも慎ましく、静かなその生きざま、わたしは、本の中ではなく、現実に出会えることに、幸せに思います。


今朝、教室が始まる前に、わたしは先生に訊ねることにしました。
体調は大丈夫ですか、

先生は、日本語はたどたどしいが、ほとんどの日本語は、聞き取れます。

先生はわたしに、
心配して、ありがとう。すみません。体は大丈夫、背中と腰は弱くなってきて、教室までの道、途中は何回か休まないといけない。
なので、時間までだいぶ早くうちから出る、教室に着いて、開いてないなら、下の駐車場辺り待ってる。インタホンを押して人を呼ぶのは、したくない。そんな邪魔したくない。


そうなんですか、背中と腰。ご高齢の先生、機敏に動ける先生にも、こんな日が来るんですね。
最近、キャリーバッグを引っ張ってる先生の姿に、驚かされたわたしは、ずっと心配しておりました。

先生、急に恥ずかしそうに笑って「あのバッグ、うまくコントロールできなぁい、まだ、なれないから、バカみたい」


ハハハハ、バカみたいって。

先生の日本語が不十分ですから、悪い意味の全ての言葉は、“バカ”のようです。

いつだったか、女優で、今はヨガ界で活躍する方が来て、静かにやるより、自己出張ばかりで、先生は、穏やかな口調で「ばかもの」と、
その女優、二度と来なくなった、そんなこともありましたね。

先生は、再三にわたしに心配してくれて、ありがとう、すみません。
それから「ヨガ、とても、できるようになりましたね。昨日も、よくできました、と思います」

おそれいります。
先生から、ずっと、ヨガを習いたいです。


ポーランドからの郵便、まだ届いてないです。
待ち遠しい。

クッキーの型抜き、もう用意して。こちらも北欧のです。


夕方の、薄すぎて、わからないほどの、虹。