銀杏が

小さいとき、うちにこの帯留のような髪飾りがありました。

この帯留を見ていると、懐かしゅて懐かしゅて。

午前、ふみはお友達と、またいつかのように新宿の電気量販店へ、並んで、なんとかカードをもらいに。

わたしも一緒に行くことになってたけど、体調がよくなくて、着替えまでしたけど、ふみが「いいよいいよ、無理しないほうがいいよ」との言葉に甘えて、行くのやめました。

まだ小学生で、新宿みたいなところ、親が一緒じゃないと、って思いながら、体が言うこと聞かないから、横になって、心配して。
昨日からお薬を飲んで、だいぶ良くなってはいますけど。

帰ってきたふみを見て、やっとほっとしたのです。

こんなこと、もう二度とないですから。

午後、ふみは英語へ、終わったらそお足で塾の自習室へ、もちろんしぶしぶと。
6時までお約束だけど、電話かかって来て、5時まで、その後またかかって来て、5時15分、と。
お相撲をみたいに違いないわ。

帰って来て、ちょうど稀勢の里戦、間に合ってよかったです。

昨日、面談のとき、わたしは、ふみを男子校に入れたくないという強い意思を伝えました。
「それは、どうしてですか?」
「中学高校、多感な年齢で、男子ばかりという極めて不自然な環境には、わたしはどうしても抵抗があります。姉妹いるお子さんならまだしも、ふみは一人っ子なので、なんだか、変になるのではないかって」

「ああ、まあ、確かに、男子校出身の生徒って、コミュニケーションの力というか、ちょっとね」先生はなにか思い出したように笑って、「ふみくん、女子に人気ですよ。女子のみんなと仲良くて、ふみくん、変な暗いところないですから、素直で、育ちがいいですからね」
あらま、ちょっとでもピンクや、ちょっとでも花柄や、ちょっとでもハートマークなどがあると、絶対嫌いなのに。


「通学路にね、銀杏が落ち始めてるよ。最悪、踏んだら臭くて、本当最悪」とふみが。

銀杏、そうか、もうそんな季節なのね。