寒桜

ふみは今日は家庭科の授業があります、エプロンや三角巾を用意しましたが、今朝、ふみが登校時、それを渡すのをすっかり忘れてしまいました。
急いでタクシーで届けに行って、玄関に入ったら、教室まで上がる気持ち、どうしても湧かなくて、ふみの下駄箱に置こうかなって思ったりしていたところ、用務員の方が声をかけてくださって、「ちょうど今から巡回しますから、なんなら持って行ってあげましょうか」と。
助かりました。
どの先生にも、会いたくないな今は。


帰り道、寒桜が神々しく咲いておりました。
今日も寒いです。



今朝、スイッチを入れたはずの洗濯機ですけど、全然スイッチが入ってなくびっくり。これを忘れる、あれを間違えるのわたしですが、
ふみ、淡々と、いつも通りで、まったく乱れも無く、悩んでる様子にも見えないです。
この子、そういうところがあります。とにかく顔に出さないタイプです、損してしまう場合もあるわ。




下校のメールが届いてから、だいぶ時間が経ってふみが帰ってきました。
にやにやと、「ママ、怒んない?本当怒んない?」

またなにかあったかと、ドキッとしました。

話を聞くと、帰り道にYくんに誘われ、寄り道して、福引きしに行きました。
Yくんが券を持ってます、ふみにも渡してくれて、
Yくんがルーレットを回して、ハズレでした、
ふみが回したら、“ガラガラガラ、3等賞、3千円商品券で〜す、おめでとうございます❗”

で、ふみとYくん、暫く“茫然とした”そうです。
それから二人はハイタッチして、やったー、やったー、やったー!と。

ふみ、500円6枚の商品券を3枚Yくんに渡して、帰ってきたのです。
駅前の書店も使えるそうで、漫画買おうかなってふみが。


「すごくない?ママ、ヤバイよね」

それはすごいが、例の話、どうなりました?商品券なんて、正直、どうでもいいのよ。

ふみが言うには、
今日、保健のY先生がUくんを呼んで、謝ったそうです。つまり、Uくんの話を聞こうとせずのことで。
ふみは、ずっとそのことでUくんのために抗議していました。教室に帰ってきたUくん、話の内容をふみに教えて、「Uくん、嬉しそうだった」とふみが。

担任のK先生がふみに、副校長のところに行くようにと言って、ふみが行ったら、副校長先生が「Y先生に、生徒への言葉遣いを気を付けるように伝えましたから」と言って、それから、「火曜日はふみくんの誕生日ですね、その日の休み時間、もう一度話し合おうね」と。

!!

「ええ〜すごいじゃない!」とわたしは思わず声をあげて、

「うん、ぼくたちの勝ちだよ、火曜日、副校長先生にお礼は言うよ。でもいつも中休みの時間で話すから、全然遊べなくなってるよ」とふみが。


なんか、よかったです。
ちょっと胸いっぱいになったわたしです。


ふみたちは子供だからって、バカにしちゃいけないと、先生たちも気づいたのかしらね。

ふみは、前々から、学校のアンケート調査にも、生徒の言い分を最後まで聞くようにと、ずっと訴えてきましたけどね。誰一人先生が対応してくれないのですから、問題視していないですから。

今回の事件で、やっと生徒の言い分を無視しちゃだめだと、思うようになったかな。

ふみはその後すぐ、学校から借りてきた本を読んでいて、わたしは、万感の思いでしばらくいました。


夕方、ふみと年内最後のサックスのレッスンへ。

ふみは真っ先M先生に「僕、今日、ちょーついてるよ」
「なんで?」
「あのね、福引きでね、3千円も当たったのぉ!」
「おっ、それはすごい、3千円か、3千円はいろいろ買えるね」
「でも、千五百円を友達にあげた」
「おっ、かっこういいね」
「その友達がいないと、ぼくも福引ができないからね。先生はくじ引きに何か当たったことありますか?」
「ああ、あるな、3等賞」
「なんだった?」
「味噌」
「味噌?!一袋?」
「一袋」
「ははは」
「ははは」
「あとはもうポケットティッシュしかない?」
「そう、ポケットティッシュ
「ははは」
「ははは」