謝恩

昼前に学校に行きました。

みんなでランチョンマットを手作りしたり、お花を飾ったり、お菓子や飴玉やお飲み物を置いたり、
それからまた合唱の練習をして。


謝恩会は二部に分けています。
前半は子供たちが主役で、
後半は母親のわたしたちです。

大人気の前校長先生や、各学年のときの担任の先生や、職員の方たちや、各町内の町会長さんや、同窓会の方などをお招きいたしました。

子供たちは、前校長先生の思い出を語りました。
「毎年夏、学校でのキャンプのときの、T校長先生の誕生日ケーキは一番うまかったです。ハロウィンのときの飴も」
Sくんが、「離任式のときに、ぼくを抱きしめてくれて、思い出すと今でも泣きそう」と。

T校長先生が「こんな早く私の番とは思わなかったから、口にまだ飴玉がありますよ、たいへん失礼いたします。まず、Sくんを抱きしめたいと思います」

みんな笑いました。


一年の時の担任のN先生には、Kちゃんが「先生は、自分の育ったフキノトウを持ってくる持ってくると言って、いつも忘れて、いつ持って来るのかなって、ずっと待っていました。持って来たときのフキノトウは、もう腐りました」

N先生が笑って「そうでしたそうでした。でも、ちゃんと約束を果たして持って来ましたからね」
N先生からのお土産は、一枚のDVDでした。

投影して、最初は映像が出ず、音声のみで、N先生の声「どうですか〜、美味しいですか〜」
子供たちから「なにこれ!ホラだよ」との声が、みんな笑いました。

DVDは、なんと、一年生の給食の時の映像でした。

や〜、みんな頬っぺたがまん丸で、ほとんどの子は、前歯がないです。
赤いシャツのふみは、カメラに向かって、ずっと瓶の牛乳を飲んで、やっと瓶を下ろして、「美味しい」と言って、かわいい〜。
ま〜、久しぶりに見る、幼いふみでした。

周りに、涙を拭くお母さんも、少なくありませんでした。

K先生の思い出は、Tちゃんが「プールに入るとき、先生は、お化粧を落とすの忘れて、目の下が真っ黒のこと、面白かったです」

N先生の思い出のとき、一人の女の子が司会の女の子のところに、耳打ちして、司会の女の子が「緊急ニュースです、緊急ニュースです、現場のふみくんを呼んでみたいと思います、ふみくん〜」

隅っこにいるふみがマイクを持って「はい、こちら現場です。テストの回答用紙ですが、謎の茶色のシミがありまして、コーヒーの匂いがします。調べてによると、N先生がこぼしたようです。以上、現場からでした」


N先生が笑いながら立ち上がって「覚えてます。コーヒーをこぼして、朝来たら私はまず“ふみくん、ごめん、ほんとにごめん、許して”と言ったら、ふみくんが“先生、ぼく全然大丈夫ですよ”って言ってくれて…」

今は産休中のN先生は、お話をしてくださいました。
「…陣痛は四日間も続いて、ほんとにもう死ぬかと思いました。なんで私がこんな苦労しないといけないの?なんで私がこんなたいへんなの?って思って、その時、みんなと一緒に、命の学習の授業のことを思い出しました。
みんな覚えてます?Mちゃんの看護師さんのお母さんが授業をしてくれましたね?
生まれるときは、たいへんなのはお母さんだけじゃない、一番頑張ってるのは、赤ちゃん自身だって、一生懸命、一生懸命、生まれたいって、赤ちゃんは命かけて頑張ってるって。
ほんとにそう実感しました。
だから皆さん、自分の命を大切にしてください。人の命を大切にしてください。なぜなら、私たち一人一人、ほんとに命かけてこの世に生まれてきたんだから」


子供たちは、グループ別で、この六年のそれぞれの年の流行りの歌を踊ってました。

一番面白かったのは、AKB 48の「恋するフォーチュンクッキー」、中に男子一人がいました。
あとで聞いたら、一人が足りないとのことで、ジャンケンでその男子が負けたとのことでした。

でも、その男子は、嫌な顔をまったく見せず、まじめに踊ってました。たおやかに。

車椅子のRくんも舞台に上がって、椅子に座って、みんなと一緒に踊りました。



休憩を挟んで、第2部が始まりました。
PTAが作ったDVDを上映しました。
一年から六年のさまざまな場面です。
入学式、運動会、学習発表会、遠足…

涙を拭くお母さんは、たくさんいました。
「どうしよう、これから合唱なのに、ハンカチは、ハンドバッグなのよ」


わたしたちは舞台に上がりました。
保護者代表の卒代さんが、ご挨拶をしました。さっきの映像を見たばかりからでしょうか、卒代さんは、ずっと涙ながらで語ってました。
先生方たちへの感謝、職員の方たちへの感謝、地域の方たちへの感謝、学校への感謝。


それからわたしたちは合唱しました。
今まで一番大きい声で歌えました。

謝恩会はこれで終わりました。
お母さんたちは子供たちと対面で列に並び、花道を作り、来賓を拍手でお送りしました。

T元校長先生は、一人一人に話をかけて、昔のように、一人一人の名前をきちんと覚えていらっしゃいました。
わたしのところで「いい子に育ったね、ふみくんは」とおっしゃって。
ちょっと感動しました。


来賓はみんな帰りました。
Yさんは「では、最後は、担任のU先生です!」
わたしたちは、自然と手を繋いで、トンネルを作りました。

先生は「ちょっと低いな」と頭を下げてトンネルをくぐって、
それを聞いて、真ん中あたりのトンネルは、さらに低く、だんだんとみんなはしゃがんで、U先生「よーし」と、匍匐前進になりました。
みんなで大爆笑しました。


それからみんな手早くお片付けを始めました。
男子たち、テーブルを運んだり、パイプ椅子を畳んだり、頼もしいですこと!


車椅子のRくんがこっちに来て「あの、ぼくに出来ることありますか」
Kさんは普通に「じゃ、悪いけど、ガムテープを回収してくれる?」と言ったら、
Rくん、とても嬉しそうに車椅子を動かして、ガムテープを拾いに行きました。