宇宙人A

この前ふみをお迎えに行ったら、Sちゃんが小さい瓶を持って走って来て、
「見て見て、てんとう虫がいるの」と、その瓶をわたしの目の前に差し伸べてきた。
見てみたら、確かに一匹のてんとう虫が、葉っぱの裏表を慌ててひたすら歩いてる。
「本当だ、てんとう虫だね」と言うと、Sちゃんは嬉しそうにそれを持って走り去った。


それから、なぜか時々その行く場所失って、うろうろするてんとう虫のこと思い出す。
「ね、ふみ、保育園にてんとう虫いたね、瓶の中」
「うん」
「かわいそうね」
「かわいそうじゃないよ」
「う…ん、じゃ、例えば、宇宙人がふみちゃんを捕まえて、瓶に入れて、見て見てと言って、周りたくさんの宇宙人が見にくるのは、どう?」
「…、いやだ」
「でしょう?宇宙人Aは、おもしろい、見て、この子眉毛が太いね、宇宙人Bが、もっと葉っぱをあげよう、お腹がすいてるんじゃないと言って」
「イヤだ、イヤよ」


夕べ、ふみをあやしてもあやしても、なかなか寝ないので、
「ふみ、宇宙人Aはもうそこまで来てるよ、寝ないと連れていかれるよ」
ふみはすぐ目をきつく閉じ、わたしに寄りかかって、「ママ、お布団をかけて、こわい」

ありゃ、怖くさせるつもりじゃないのに。
でもおかげでふみは動かず喋らずですぐ眠ってしまった。



朝起きて、ふみはまだ宇宙人のことを覚えてらしくて、自分なりの対策法を考えたみたい。
「ふみちゃん、宇宙人に注射しる!」(ふみが注射嫌いだから?)
「ほっぺに薬塗ってあげる」(毎日の日焼け止めが面倒なんだ)
「ふみちゃん宇宙人に餌あげるよ、お野菜と玉ねぎ」(ふみの大嫌いなものね)



朝から雨です。
うちの中でふみとブロックで遊んでた。
一緒に作った電車。それを走らせるふみ。



わたしが作った宇宙人Aの乗り物。へへ


ふみが作った兵器




雨止みそうにないから、ふみにカッパを着せてスーパーの朝市へ。
ふみ今日持ってくれたのは、セロリだった。



買ったものをうちにおろして、その足で地下鉄駅へ向かった。
知人が、わたしが辛いものが好きと聞いて、池袋のメトロポリタンプラザのタイ料理屋さんの、辛口太麺焼きそばが、とても辛くておいしいと勧めてくれて、連休前のことだけど、まだ行ってないの。


今日は雨だし、ふみと行こうかなと。


新宿三丁目から、副都心線に乗った。
新開通した副都心線は、初めて乗った。



池袋の改札口に出て、おしゃれなお店がいっぱいあって嬉しくなったわたし。
一軒一軒、カバンを見たり、日傘を見たり。
日傘は買いたい。持っている紺色のが、ついこの間、ふみを抱き上げる時、ふみの足に引っ掛かって、日傘の一本骨が折れた。


お店に次々入って、気がついたら、立教大学の出口に行ってしまった。真逆だ。


えぇぇ〜結構長く歩いたしね、まだ戻らなきゃ、「ふみ、ごめんね」。
ふみは黙ってついていた。ありがたいありがたい。


やっとそのタイ料理屋さんに辿り着いた。

わたしは知人に勧められた辛口太麺焼きそばを頼み、ふみには甘口のを頼んだ。
麺は全部米粉だからタイの麺が好き。


出てきた。
見た目は辛そうに見えない。

からっ!
けど、わたしには全然OKの辛さだわ。
辛くて、香ばしくて、おいしくて、こんなのを久し振りに食べたね。

ふみの甘口。

ふみは相変わらず、たとえモヤシの尻尾でも、丁寧に取り除いたりしてる。
それからお箸で食べてた。




帰りに、ふみの昼寝の時間を気にしながらも、やっぱり先ほど見たあの日傘を買いたい、でないと後悔すると思って、また、ふみに付き合ってもらって、そのお店に行って、淡い花模様のある涼しげな日傘を購入。



「ふみ寝ないでね、ふみちゃんはもう大きくなっているんだから、ママはもう寝ているふみを抱っこして帰るのはできないからね」と、念入りに何回もふみに頼んだ。


明らかに眠そうになってきているふみだったけど、寝ないように頑張ってくれた。
車内放送を真似したりしているうちに、最寄り駅についた。



地下鉄の階段から上がって行こうとする時、赤と黄色いの僧衣を纏っているチベット僧侶のラマが降りてきた。
目が合った時、なぜかわたしもそのラマも笑った。初対面のはずなのに。
目が合ったまま笑って、だけど無言ですれ違った。

今日はいい日だわ。



外に出て、雨まだしとしと降っている。

昼寝のことを考えて、
「ふみ、宇宙人A何をしてるのかな」(宇宙人を悪者にしたようで、誠にすまん!)
「宇宙人Aは、咳して、お熱出てるの」
「はっ?宇宙人Aが熱?それはたいへんだ、風邪かな」
「新型いんふるえんじゃ じゃない?その宇宙人は」と、ふみはちょっと得意そう。

「え?新型インフルエンザか、病院に行ってるかな」
「今?今は、ゲロゲロ吐いてんのその宇宙人」

ゲロゲロ吐いてる…、ひどいな、そこまで宇宙人を嫌いなのか、宇宙人さん、すまん!ママのわたしのせいだわ。



「ネズミだ」とふみが。
「ネズミ?うそ、何の話?」
「さっきのところ、ネズミ死んでる、ふみちゃん踏んでないよ」
「?!」
振り向いたら、雨の路地に、ネズミが横になって死んでいる!!

\(◎o◎)/!

「ふみ、過ぎてから言ってよかった〜目の前で言われたら、ママ倒れるからね、ネズミやヘビ、絶対ダメだから」

あ〜あの雨の中の姿、早く脳裏から出て行くように(+o+)



夕食後、パパとお散歩から帰って来たふみからもらったお土産。