LLKちゃん
昼寝起きて少し過ぎてから、保育園では3才4才5才児が一緒に遊ぶことにしている。
それでふみ最近、よくLLKちゃんのことを口にする。
LLKちゃんは5才児で、大きい目をして丸い顔の東南アジア系のハーフの女の子。
長い真っ黒な髪のLLKちゃんは、いつも笑顔で、兄弟三人のためか、世話焼きで面倒見のいい子なんだ。
ふみはLLKちゃんに何かをしてもらったことがあったのようで、とてもLLKちゃんのことを憧れている。
少し前のある日、お店で偶然LLKちゃんとそのお姉さんに会った。ふみはもう緊張で緊張で、嬉しくて嬉しくて、そういうふみを見ていると、おかしくてたまらなかった。
いつだったか、従兄とおしゃべりした時のことなんだけど、
同じ住宅の同世代の男の子のお姉さんを、鮮明に覚えてると従兄は言う。
その忘れられないエピソードは、
真冬の放課後に、友達と帰り道を歩いてる従兄のところに、その男の子のお姉さんが急にやって来て、
「ちゃんと締めないと耳が寒いでしょうに」と言って、ほどけている従兄の綿の帽子の紐を、顎の下で結び直してくれた。
そのお姉さんは、さりげなくそうして、さりげなく去った。
けど、そのことは、少年だった従兄の心に、ずっと残ってるようだ。
美人でもなんでもないお姉さんだけど。少年の心が温まったでしょうね。
ふみは、LLKちゃんのことを、ずっと覚えるのかしらね。
でもまだ3さいだから、無理かもしれない。